コロナの巣ごもり生活で「日本のアニメ」が世界中から注目を浴びるワケ
急成長する海外市場の実態アニメは「世界の成長産業」
かなり前のことだが、筆者がニューヨークの空港に行くのにUberに乗ったら、気さくな感じのプエルトリコ人の運転手さんが声をかけてきた。
「日本人かい?」
「そうですけど」
「じゃ、NARUTO知ってる?」
それから空港までの小一時間、彼は日本の忍者アニメ、『NARUTO-ナルト-』について熱く語り続けた。息子といつも親子一緒に『NARUTO』を見ている、努力することやチームワークの大切さなど『NARUTO』から学んだことは多い、日本にはまだ行ったことがないが『NARUTO』を見てから是非行ってみたいと思っている、などなど。

今やアニメは、世界の成長産業なのだ。
昨年11月の「日本動画協会」によるデータで、アニメ産業の海外市場が約1兆2400億円となり、約1兆1900億円の国内市場を初めて抜いたことが明らかになった。海外市場の伸びは2015年頃からめざましく、2010年代の初めと比べると4倍以上になっている。
調査会社「グランドビューリサーチ」は、世界のアニメ市場が2021年からの7年間に平均9.5%で伸び続け、2028年には480億ドル(約5.3兆円)の市場になると見ている。少し控えめな「プレセデンスリサーチ」のレポートも2030年には483億ドルになると予測しており、10年間の年間平均成長率7.9%と堅調な成長を見込む。
海外でのアニメ急成長の理由は、オンライン配信の登場だ。テレビをはじめとする旧来プラットフォームが中心だった時代と比べると、海外で視聴できるアニメの数が劇的に増えたのだ。
アニメデータベースの「AniDB」のサーチ機能を使って米国でリリースされたアニメの数を年ごとに追うと、90年代の中頃までは配信される作品数が年間30~40本程度しかなかった。ところが2010年代の中頃からは200~260本程度と、その数が何倍にもなっている。
ネットフリックスやアマゾンプライム、ユーチューブ、それにソニーが昨年買収した「クランチロール」などのオンライン配信の影響が大きい。
しかも、アニメ作品の多くはシリーズもので、エピソードが何十話と長いものもある。『サザエさん』や『ドラえもん』、『ONE PIECE』になると、エピソードの数は1000話から2000話以上にもなる。