2022.01.28
# 企業・経営

「偏差値エリート」が日本経済をダメにした…まともな経済政策が行われない根本原因

日銀も財務省もマスコミも…

前日銀審議委員による鋭い批判

日本経済はなぜ、うまくいかないのか。根本的な理由は「偏差値エリートの合理的期待」にあるかもしれない。経済だけでなく、安全保障も同じだ。彼らは、正しい処方箋が示されたとしても「自分の出世とは、何の関係もない」と割り切っているのだ。

この問題を考えさせられたのは、前日銀審議委員でエコノミストの原田泰氏が著した「デフレと闘う 日銀審議委員、苦闘と試行錯誤の5年間」(中央公論新社、2021年6月)を読んだのが、きっかけだ。

前日銀審議委員でエコノミストの原田泰氏[Photo by gettyimages]
 

原田氏は2015年から20年まで日銀審議委員を務めた。当時の日記を基に書いたこの本で、原田氏は、日銀という組織と同僚たちの赤裸々な実態を、これでもか、というほど暴露している。たとえば、次のようだ。

〈そもそも、5000人の日銀職員で金融政策の専門家は何人いるのだろうか。金融政策の専門家とは、金融政策が金融市場と経済全体にどのような影響を与えるか、を理論的・数量的に認識している人だろう。ところが、そんなことを知っている人は、日銀内にほとんどいなかった〉

〈2015年の時点では、金融政策決定に関わる少なからぬ人々が、物価は金融政策では決まらない、潜在成長率で決まる、経済の実力で決まる、物価は基礎体温のようなもので、個人差がある、などと議論していた。物価と金融政策との関係を認めていなかったのだ〉

〈岩田副総裁は「物価が経済の実力、潜在成長力で決まるとして、金融政策で潜在成長率を動かすことはできない。であるなら、金融政策で物価を動かすことはできないことになる。とすると、木内委員は、なぜ、金融政策に関わって、金融政策について議論するのか。時間の無駄だ」と何度か言っていた〉

木内委員とは、当時、原田氏の同僚だった木内登英審議委員(野村証券出身)である。木内氏はテレビの経済番組に、よく登場するので、ご存知の読者も多いだろう。私もテレビで、ご一緒したことがある。「物価上昇率は経済の実力で決まる」という考えの持ち主だった。

岩田規久男副総裁は「物価が潜在成長力で決まるのなら、金融政策は潜在成長力を動かせないのだから、論理的に金融政策は物価を動かせない、という話になる。それなら、なぜ木内氏は、物価安定が責務である金融政策に関わっているのか」と批判したのだ。

前日銀副総裁の岩田規久男氏[Photo by gettyimages]
 
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