ジャカルタからジャングルへ…インドネシア「首都移転狂騒曲」に潜む現実的な問題点

大塚 智彦 プロフィール

大統領が「遷都」に踏み切った理由

そもそもジョコ・ウィドド大統領が首都移転に踏み切った理由は、1)人口過密、2)それに伴う慢性的な交通渋滞、3)地下水汲み上げによる地盤沈下、4)地震、海面上昇、洪水などの自然災害、としている。

ジャカルタは約1000万の人口を擁し、周辺の首都圏には3100万人が集中、しかも年々増加している。ジャカルタでは膨れ上がる人口に対する雇用機会が不十分で、その結果として失業者があふれる事態にもなっている。

ジャカルタ中心部の主要道路や近郊の工業団地を結ぶ高速道路はどこも慢性的な渋滞が酷く、それによる経済損失は年間で約10兆ルピア(約8400億円)に上るとの試算もあるほどだ。

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上下水道の整備が遅れており、多くの住民が地下水を汲み上げて生活用水として利用するため、地盤沈下が深刻となっている。加えて地球温暖化に伴う海面上昇もあり、ジャカルタ北部では慢性的な洪水、海水流入という事態が続いており、現状では2055年までに水没する世界で初めての都市になるとさえいわれている。

日本と同じく火山国であるインドネシア。ジャカルタ周辺に活発な活火山はないものの、ジャワ島には常に噴煙を上げている活火山が多く存在し、地震に襲われることもある。

1月14日にはジャカルタ西方のバンテン州でマグニチュード6.6の地震が発生、家屋倒壊などの被害が確認され、ジャカルタも大きく揺れた。

こうしたもろもろの理由を背景からジョコ・ウィドド大統領は「遷都」に踏み切ったという。

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