ジャカルタからジャングルへ…インドネシア「首都移転狂騒曲」に潜む現実的な問題点

大塚 智彦 プロフィール

熱帯雨林の大規模破壊の懸念も

新首都「ヌサンタラ」は、これまで明らかになっている計画によると首都圏面積が25万6142ヘクタールに及び、中核となる政府関連地区は5万6180ヘクタールとなるとしている。

政府は公有地が多く土地収用などの必要性が少ないとしているが、建設予定地の大半は熱帯雨林のジャングルで、そこには先祖代々住む少数民族の存在もある。

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インドネシアは2021年11月に英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、2030年までに森林破壊をゼロとする共同声明にジョコ・ウィドド大統領が署名した。

しかしその直後、インドネシアのシティ・ヌルバヤ・バカル環境林業相が「この目標は不適切で不公平であり、できない約束だ」と反論した。

開発に森林破壊は避けて通れないというインドネシアの立場を内外に示した結果の反論だが、その念頭には大規模に森林を破壊せざるを得ない「新首都建設」があったとの見方が有力だ。この反論を、森林破壊をゼロにするという国際目標にインドネシアは与しない免罪符にしようとしているのだ。

建設予定地の熱帯雨林にはダヤック族やパセ・バリク族などの少数民族が居住しており、先祖伝来の土地を守っている。

報道によると、彼ら「先住民族」の人々は、土地の所有権を示す書類や登記などとは無縁の生活を続けてきており、政府による強制的な土地収用に抵抗する術がなく、居住地を追われる事態に直面しているといい、こうした問題への政府の真摯な取り組みが求められている。

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