ジャカルタからジャングルへ…インドネシア「首都移転狂騒曲」に潜む現実的な問題点

大塚 智彦 プロフィール

先走る移転狂騒曲

首都移転は国会での法案が成立したばかりとは言え、2019年にジョコ・ウィドド大統領が東カリマンタン州への首都移転方針を明らかにして以降、建設工事も着工する以前から様々なことが進んでいる。

政府は当初、移転する中央省庁に勤務する約8000人の政府職員、公務員が新首都に移動することに伴う家族を含めた移動費(航空運賃、レンタカーなどの交通費、日当)などを全額負担することを明らかにしており、移転に対する優遇を公表している。

新首都には公務員、軍兵士、警察官、その他の住民など、最終的な人口となる32万人のために住宅10万戸の建設も予定しており、移転を嫌う公務員への対策として優遇策が示されたといえる。

 

建設予定地である東カリマンタン州北プナジャム・パスル県にはすでに「ようこそ新首都へ」と書かれたゲートだけがジャングルの中にポツンと立っているが、「ヌサンタラ(群島)」と命名された特別自治区となる新首都予定地には、著名彫刻家がデザインした大統領府、国会、各省庁、商業施設などの「イラスト」「青写真」が次々と公開され、ムードの盛り上げに一役買っている。

その一方で、首都建設予定地周辺では地価が高騰し、不動産投機が過熱しているとの報道もある。東カリマンタン州の地方事務所などによると、新首都建設予定地周辺の地価が2019年の「建設発表」以前に比べて5~10倍に跳ね上がっているという。

北プナジャム・パスル県では、かつて1ヘクタールあたり1~2億ルピアだった土地が、現在では10億ルピアになっているというのだ。一部報道はこうした現状を「砂糖に群がる蟻」と表現している。

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