ジャカルタからジャングルへ…インドネシア「首都移転狂騒曲」に潜む現実的な問題点

インドネシアの国会は1月18日、首都を現在のジャカルタから北に約1200キロ離れたカリマンタン島の森林地帯に移す「首都移転プロジェクト」を承認する法案を可決、成立させた。

国内の主要なマスコミは新首都建設を歓迎して「国民の夢の実現への第一歩」と肯定的に伝えているものの、一部メディアや法案に反対した野党、財界などから「巨額の新首都建設費用の手当の不透明性」「カリマンタン島の原生林、熱帯雨林を大規模に開発することに伴う“環境破壊問題”」「開発予定地に居住する住民対策の欠如」などを指摘され、もろ手を挙げて喜べる状況にはないと冷静な見方をしている。

インドネシアの「首都移転狂騒曲」に潜む問題点を探る。

ヌサンタラ国家首都のHPより

東南アジアでは2方式の首都移転

首都の移転は、人口の集中やインフラ問題など様々な要素を理由として実施される。東南アジアでの首都移転は過去、「ミャンマー方式」「マレーシア方式」の2通りのパターンで実現されている。

 

ミャンマーはかつての首都ヤンゴン(旧名ラングーン)から、2006年に当時の軍政が中部に新たに建設した都市ネピドーに移転させた。

移転理由は軍政幹部が頼る占い師の「お告げ」によるとの説や、軍政に厳しい姿勢を表明していた米国の海軍艦艇によるアンダマン海マルタバン湾からのミサイル攻撃を危惧し、その射程外に移すという説が有力視されていたが、真相は不明だ。

政府機能のほぼ全てをネピドーに移転し、政府職員も移転を余儀なくされたが、各国の大使館などは、ネピドーの不便さを嫌いヤンゴンを動いていないという現実がある。

マレーシアは2001年に首都クアラルンプールから南約25キロのプタリンジャヤに大統領官邸、首相府、政府機関の大半を移転させた。国会議事堂はクアラルンプールにあり、各国大使館も移転していない。首都は依然としてクアラルンプールである。

政府機能を“丸ごと移転”するミャンマー方式と、“一部移転”のマレーシア方式、2つの方法がある中で、インドネシアの首都移転構想は、その実現性はともかくとして、首都ジャカルタにある経済・金融関係を除くほぼ全ての政府機能を移転させる計画となっている。

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