英語と米国にこだわる「カムカムエヴリバディ」が実は日本的なドラマである意外な理由

宝泉 薫 プロフィール

実は「序破急」の構造になっている

なお、物語全体を展開していく手法にも、日本的なものは発見できる。

意識的かどうかはともかく「序破急」という構造を感じさせるのだ。これは雅楽から能楽、芸道全般へと広がったもので「起承転結」と並ぶ物語の手法。第1部がもっぱら「序」で第2部は「破」になっている印象だ。

それゆえ、その切り替え回となった第38話は、破調とすら呼びたいほどのめまぐるしい展開で、安子とるいの破局が描かれた。その最後に、実年齢と設定年齢に20歳も差がある二代目ヒロインが登場。この力業を行ったことが、それ以降の不思議な緊張感を維持させている。

これに対し、朝ドラらしい朝ドラとしてよく挙げられ、最近再放送もされた「澪つくし」(85年前期)は起承転結の物語だった。ヒロインの恋が「起」でその成就が「承」夫の遭難と別の男性との再婚、記憶喪失になった前夫の帰還が「転」で、前夫の記憶が戻り、再婚相手が戦死して、ヒロインがひとまず自立して生きていこうとするまでが「結」という具合だ。

「カムカム」の場合、第3部ではるいの娘・ひなた(川栄李奈)が三代目ヒロインとなる。第1部の「英会話」や「あんこ」が「序」で、第2部の「ジャズ」や「時代劇」が「破」だとすれば、そこから「ひなた」の物語がどう「急」展開するのか。この冒険的で、じつは日本的でもある朝ドラの行方を見届けたい。

 

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