英語と米国にこだわる「カムカムエヴリバディ」が実は日本的なドラマである意外な理由

徹底した米国文化へのこだわり

NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(以下「カムカム」)は冒険的な朝ドラだ。もっぱらひとりの女性の一生や数年間が描かれることが多いなか、今回は親から子、孫へという三代百年の物語。キャスティングやテンポも独特だったりする。

ただ、いかにもNHKの朝ドラ的な伝統を感じさせるところもあって、それは何より、タイトルの由来にもなった英会話をはじめとする米国文化へのこだわりだ。

じつは現在、別枠で再放送中の「純ちゃんの応援歌」(1988年後期)にもその傾向が見られる。ヒロインが恋におちる相手は日系米国人。村人と進駐軍が野球で対決したりもする。これと似た日米の野球対決的な場面が「カムカム」にもあり、既視感めいたものを抱かされた。

NHK『カムカムエヴリバディ』公式サイトより
 

また「オードリー」(2000年後期)「さくら」(02年前期)「花子とアン」(14年前期)「マッサン」(14年後期)なども欧米的文化の影響が色濃い作品。NHKはそういうものを定期的に作ってきたわけだが、なかでも「カムカム」のこだわりぶりは異例といえる。

なにせ、冒頭からして第1話ではなく「EPISODE 001」などと表記されるし、番組名も最初に示されるのはカタカナではなく英語表記。締めくくりも「つづく」などではなく「TO BE CONTINUED」だ。そのあとのおまけ企画「カムカムイングリッシュ」では、日常的な英文の紹介と、とにかく徹底している。

さらに、城田優の語りでは日本語のあと、英語に翻訳されたものが繰り返されたりするし、ついでにいうと、AIが歌う主題歌「アルデバラン」もなかなかバタくさい。

物語を構成する要素にしても、第1部では「英会話」が前面に押し出され、初代ヒロイン・安子(上白石萌音)はその縁で幼なじみの兄と結婚、二代目ヒロインとなる娘・るいを産む。そして、夫の死後、進駐軍兵士とやはり「英会話」を通して出会い、それがきっかけで娘に嫌われ、米国へと旅立つわけだ。

なお「進駐軍」というものも、朝ドラにはちょくちょく登場する。「カムカム」の場合、るいには絶望をもたらしたが、安子には希望となった。娘を棄てるようにして、米国に旅立ったことについて、視聴者の評判はイマイチだったが、自由な生き方を志向しがちな朝ドラヒロインらしさもそこには感じとれる。安子にとって、米国は「自由の国」だったのだろう。

ちなみに、るいという名前はジャズが好きだった父が米国人トランぺッター、ルイ・アームストロングからつけたもの。成長したるい(深津絵里)は「ジャズ」を通して、日本人トランぺッターと恋をする。

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