「まったく自覚症状がなかった」ベテラン落語家が語る「大腸がん」との闘い

金原亭世之介さんインタビュー後編

難病を経て

落語家の金原亭世之介さん(64)は、名人の誉高い5代目古今亭志ん生の子息である十代目金原亭馬生に入門し1992年真打昇進。現代感覚を生かした古典落語を得意として多くのファンを持つベテランだ。記事前編に続き、世之介さんの大腸がん「上行結腸がん」との闘病記を綴る。

さて手術は、どうだったのだろう。

「腹腔鏡手術でした。みんなそう聞くとお腹の中で切ったりするもんだと思うみたいだけどそうじゃない。大腸だとか腹膜とかに付着しているものをまずはひっぺがさないといけないわけだから、おへその両側3センチくらいずつ切って、穴を開けてそこから腸を引っ張り出すんですよ。それで外で切って悪いところを取り除いて、また繋いで戻す。腹腔鏡ってみんな内視鏡手術と勘違いしてるけどそうじゃない。取り出して手術する。中に戻してホチキスで止めて、そこに接着剤をつけておくと勝手に治っちゃうんですね。繋がったらもう3日目くらいから食事ができるようになるんですよ」

また胆石も今では、単純に胆石を除去するのではないらしい。

「胆石は90%の場合、胆嚢をとっちゃうんです。胆石だけを取るだけだと、すぐに石ができちゃってまた痛い思いをするんで、今は胆嚢自体をとるんです。そこから管だけ繋いで胆汁が出るようにして。胆嚢って今の医学では、ただ胆汁を貯めておく器官でしかないんです。まあ、現状では胆嚢があるから胆石になる、という考え方が主流なんです。僕の場合は胆石が5つくらいあったみたい。うち2つを先生が取ったのを『記念に』とくれた。もらっても困るんだけどね(笑)」

世之介さんは、以前「原田病」という難病に見舞われたことがあった。

これは、メラニン色素をつくるメラノサイトという細胞を自分自身の免疫が攻撃するという病気で体のいろいろな場所に炎症が起こる。それによって、眼にあるぶどう膜と呼ばれるメラニン色素の豊富な組織が炎症を起こしたり、また頭痛、難聴、耳鳴りなどの症状が起こることもあるのだ。

 

「一時は目が見えなくなったりして大変でした。ステロイドでの治療を行ったのですが、もう落語は喋れなくなるんじゃないかと不安でしたね。今も片耳が聞こえにくかったりはするんだけど、落語にはまったく問題はない。まあ、いろんな病気のおかげで『マクラ(落語に入る前の世間話や小咄など)』には困りませんよ(笑)」

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