2022.01.28
# 転職

「また会社に戻れませんか?」転職先の「理不尽な契約変更」に納得できない30歳男性の後悔

木村 政美 プロフィール

「また会社に戻れませんか?」

A沢さんはあくまでも商品開発課の技術担当者として限定採用されたのだから、前任者が退職を取りやめて残留した結果、課員数が充足していたとしても、労働条件の変更についてはA沢さんが認めない限りは商品開発課に配属しなければならない。

また、仮に乙社がA沢さんが労働条件の変更を認めなかったことを理由にして、解雇するなどの懲戒処分を行った場合、その処分は無効となる(要するに乙社は労働条件の変更を認めないA沢さんをクビにすることはできない)。

B富部長の提案に怒ったA沢さんは、不誠実きわまりない乙社で働くことに嫌気がさし、その日のうちに退職を決意した。そして帰宅後、今回の対処方法についてネットで調べまくり、その情報を基にして要求内容を考え、翌日B富部長に以下を提示した。

(1)労働条件の変更を受け入れず、乙社を12月末付けで会社都合により退職すること。
(2)当初に提示されていた給料と物流センターでの給料の差額3月分の60万円を支払うこと。
(3)今回の件で会社の対応のまずさにより精神的苦痛を受けたとして、乙社に対して慰謝料の支払いを求めること。

B富部長は、(1)と(2)に関してはその場でA沢さんの要求通りにすることを約束したが、(3)について、慰謝料を請求できるか否かはケースバイケースであるため、乙社の顧問弁護士と相談した上で、後日回答するとの話にとどめた。

その後、A沢さんは12月末日で乙社を退職後、正月明けから転職先を探し始めた。乙社からはすぐに給料の差額分が振り込まれたし、ハローワークで失業保険の手続きを済ませたので、虎の子の貯金をこれ以上取り崩すことなく、当面の生活費は確保できるめどはついた。

 

しかし次の転職先を早く見つけないと預金残高が増えない。こうなったら甲社と同じ給料額でもいいから早く就職したいとあせっていたところ、甲社で同じ部署にいた仲良しの先輩から電話があった。先輩から近況を聞かれたA沢さんは12月末日で乙社を辞めたことと、その経緯を正直に話した。そして

「もし可能なら、また会社に戻れませんか?」

と尋ねた。すると先輩はこう答えた。

「無理無理。A沢さんの後任もすぐに入ってきたし、ウチの部署の人手は足りているよ。でも物流センターだったら仕事がたくさんあるから、すぐにでも雇ってくれると思うよ」

「……」

A沢さんはスマホを握りしめ無言になった。「やりたい仕事」と「待遇」の両立は思ったよりも簡単ではないようだ。

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