2022.01.28
# 転職

「また会社に戻れませんか?」転職先の「理不尽な契約変更」に納得できない30歳男性の後悔

今の時代、「配属ガチャ」で頭を悩ますのは新入社員とは限らない。前編〈「これじゃ話が違う!」商品開発のプロとして転職した30歳男性の「驚きの配属先」〉で紹介したように、給料アップのために転職活動を始め「商品開発課の一員」として中途入社が決定したのに、会社都合で物流センターに配属されたA沢さん(30歳・男性、仮名=以下同)のようなケースもある。

はたして会社とA沢さんの契約は有効なのだろうか?「労働契約」の基本を押さえながら社労士の木村政美氏が解説する。

「労働契約」と必要な書類

A沢さんのケースを詳しく見ていくのにあたり、「労働契約」の定義から説明しよう。

労働契約とは、わかりやすく言うと、『労働者と使用者(企業)の双方が、労働時間や業務内容、賃金額などの労働条件に対して合意した上で取り交わす約束のこと』である(労働契約法第6条)。また、労働契約は「雇用契約」と言われることもある。一例として労働契約を結ぶ際に「雇用契約書」と記載がある書類を取り交わすことがあげられる。

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労働契約は労働法、雇用契約は民法をそれぞれ根拠として運用され、厳密にいうと労働者の定義について若干の違いがある。しかし、一例であげたように、企業が雇用契約と記している場合、実際は労働契約と同じ意味として扱われている。

企業が労働者と労働契約を結ぶ場合、契約した労働条件の内容を書類で作成し、労働者に明示する義務があるが、その書類のことを「労働条件通知書」という(労働基準法(以下、「労基法」)第15条)。

労働条件通知書の作成、明示は正社員だけではなくパート、アルバイトなどの非正規従業員にも行う必要があり、それらを怠った場合は、法違反として30万円以下の罰金が科される可能性がある(労基法第120条)。特に小規模の企業では、現在も従業員を雇う際に労働条件通知書を作成しない(要するに口約束のみで労働条件を決めてしまう)場合が見受けられるので、注意が必要である。

雇用契約書とは、企業と労働者が労働契約を結ぶ際に労働条件の内容について合意したことを示す書類であり、その記載内容は労働条件通知書の内容とほぼ同じである。
しかし、労働条件通知書は企業が労働者に対して一方的に渡す書類であるのに対して、雇用契約書は企業と労働者の双方が労働条件の合意を示すものであるため、企業と労働者がそれぞれ署名捺印を行ったのち、双方で1通ずつ保管する。

雇用契約書の作成は労働条件通知書と違い義務ではないが、雇用後の労働条件に関するトラブルを防ぐ意味で作成する企業が多い。中には乙社のように、労働条件通知書と雇用契約書の内容を合わせて「労働条件通知書兼雇用契約書」として作成している企業もある。

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