子ども一人で入浴も怖い。家庭ごとの悩み……

混浴可能年齢引き下げの課題に戻ろう。中には、発達障害の子どもを持つ家庭やひとり親家庭など、異性の子どもと入浴せざるを得ない事情を抱えた家庭もある。SNSに流れる以下のような不安の声にも、目を向ける必要があるだろう。

「ひとりで入浴させると、誘拐のリスクが心配」
「ひとりの親が複数の子どもを連れて温泉棟に行く場合は別々になるのが不安」
「家庭風呂は3~4人から対応で2人では利用できないことも…」
「シングルマザーで発達障害の息子がいます。ひとりだと服の着脱やロッカーの鍵のかけ方等のトレーニングが大変でした…。年齢引き下げは賛成ですが、障害のある子は同性の大人がいない家庭だと大変だと感じます」

(Twitterより抜粋改編)

更衣室やロッカーのシステムの施設によって違う。コインが戻ってくるロッカーなどは戸惑う子どもも多い photo/iStock

この話題に関して今西さんは、「確かに、取り残される人がないようにしていくことは大切です。例えば、事情がある場合には家族風呂を安く提供できるように、自治体が何らかの支援をするなど工夫ができるといいですよね。

とはいえ、子どもを性被害から守ることが最重要という点に変わりはありません。育児経験がない場合、子どもの性被害の問題にはなかなか気づきにくい。まずは社会全体で、裸をジロジロと見る行為や身体的接触、露出やのぞきなど性的な脅かしの行為は、すべて性暴力となるという認識を共有することが重要です。混浴のあり方について議論を続けながら、あらゆる機会で啓発していきたいですね」と語った。

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指針が出されたとはいえ、混浴可能年齢が自治体ごとにバラバラという点も、議論していく必要があるだろう。自治体によっては変更されていない地域もある。 子どもと温泉に行く際には、混浴可能年齢を前もって調べておいたほうがいいかもしれない。

日本には独特の温泉・銭湯文化があって、裸の付き合いは心の距離が縮まる=良いこととされてきた。そうした背景もあってか、家族での入浴や子どもを連れての混浴、社員旅行・修学旅行等での全員入浴に異を唱えにくい空気間はまだあると感じる。お風呂や着替えの際ののぞきが軽い『いたずら』として済まされているケースも少なからずある。子どもの安全を守るために、どのような対応ができるか。これからも考えていく必要があるだろう。

【各自治体の混浴制限年齢】(一般財団法人 地方自治研究機構)
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/092_Public_bathhouse.htm