中国国家統計局はなぜ「バラ色ではない中国経済」をここまで楽観視できるのか

第4四半期のGDP成長率は4.0%

国家統計局の会見

「わが国の第4四半期の経済成長率は、4.0%だった」

1月17日、年に一度の会見に臨んだ寧吉喆(ねい・きちてつ)中国国家統計局長が、押し殺したようなダミ声で、こう語った時、会見場は水を打ったように静まり返った。

第1半期18.3%、第2四半期7.9%、第3四半期4.9%、そして第4四半期4.0%。「新型コロナウイルスからの順調な経済回復」が謳い文句だった中国だが、GDP統計はむしろ、「経済回復が順調でない」ことを示していた。

Gettyimages
 

現在65歳の寧局長は、2016年2月、国家発展改革委員会副主任を兼任したまま、異例の形で国家統計局長に横滑りした。異例の格好となった理由は、2016年1月、前任の王保安(おう・ほあん)局長が、隠し資金を抱えて、若い愛人と北京空港からパリに高飛びしようとした矢先に統計局内で捕まるという、前代未聞のスキャンダルが、国家統計局を襲ったからだ。その収拾役を託されたのが、寧局長だった。

寧局長のこの6年の手腕は、見事に尽きる。当時、局内を覆っていた「険悪なムード」を払拭したのはもとより、中国政府が誇る稀代の雄弁家としての資質も、いかんなく発揮してきたからだ。

寧局長が記者会見の場に立つのは、1月中旬に前年のGDP成長率を発表する時だけだが、どんなに景気が悪かった年でも、寧局長の「雄弁術」にかかると、中国経済はバラ色に見えてしまう。そのため、余人をもって代えがたいということで、6年にわたって君臨しているというわけだ。

今年も記者会見で、10人の内外の経済記者たち(そのうち8人がうら若い女性記者だった)を相手に、百戦錬磨の雄弁術が炸裂した。以下、寧局長と記者との10問10答を、要約で翻訳してお届けする。いまの中国経済の状況はもとより、中国政府がそれをどう見ているかが浮き彫りにされる。

寧局長は、巧みに前年の統計を折り込んだり、中国語特有の美辞麗句を枕詞に持ってきたりしている。そしておそらく、中国メディアの記者たちには、自分が答えたい内容を質問させている。そうした多種多様な「術策」を承知の上て、記者とのやりとりを読み込んでいただければと思う。

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