性の先進国であるスウェーデンでは、セクソロジー(性科学)の研究が盛んで、セックスレスに対する心理療法も多様だという。そんなスウェーデンで活躍するセクソロジスト(性科学者)のマーリン・ドレヴスタム氏に話を聞く機会を得た。前編「『セックスレス』を改善するには?スウェーデンの著名な性科学者がアドバイス」では、セックスを拒否される側、する側へのアドバイスを教えてもらったが、後編となる本記事では、日常的なコミュニケーションなど、セックスを拒否するパートナーへの接し方の注意点を紹介する。

マーリン・ドレヴスタム氏
-AD-

夫婦でも「親密」であるとは限らない

ドレヴスタム氏によると、セックスレスのカップルの多くは性欲の度合いがミスマッチであり、そうしたカップルに足りないのは「intimacy(親密さ)」だという。「親密さ」という概念はWHOが規定するセクシュアリティ(性のあり方)にも記されており、スウェーデン政府も以下のように定義している。

「人間の性は、人生の重要な一部であり、健康に大きな影響を与えます。私たちのセクシュアリティは私たちのアイデンティティ、誠実さ、親密さと結びついています」(2017年にスウェーデン政府が発表した「性と生殖にまつわる健康と権利」のレポートより)

「親密」になれなければ、カップルは性的に幸せになれないとドレヴスタム氏は説明する。ただ、夫婦はもちろん、セックスをするくらいの関係性のあるカップルはたいてい親密な関係にあると多くの人が思うだろう。でも、そうとは限らないとドレヴスタム氏は言う。

「多くのカップルが日常で事務的な話ばかりをして、親密になれていません。英語のintimacyをゆっくり発音すると『into me see』、つまり『私の中身を見て』になります。カップルはお互いの“中身”で常日頃からコミュニケーションすべきなんです」(ドレヴスタム氏、以下同)

親密さには3種類あり、そのいずれにも実現できていないカップルは性的に幸せな関係を結ぶことができないという。

1. 感情的親密
自分の気持ちについてオープンに話すこと。「私は仕事で不安を抱えている」「娘の学校が心配だけどあなたはどう感じているの?」「親のことが心配だけど、あなたはどう思う?」などと日頃から自分の気持ちについて話す。

2. 心理的親密
過去の記憶、人生の悲しみや喜び、未来の夢など様々なことを共有すること。「10年後は何をしていたいか?」「子どもの頃は何をしたかったか?」。そんなふうにお互いの心を共有すること。

3. 身体的親密
身体的親密は「非性的スキンシップ」と「性的スキンシップ」の2タイプがある。非性的スキンシップはプライベートパーツ(水着で隠れる部分)以外の髪を触ったり、肩に触れたり、手をつなぐなどのフレンドリーな触れ合い。性的スキンシップはキス、オーラルセックス、挿入など様々な性的コミュニケーションのこと。この2タイプのスキンシップのバランスがとれていないと、カップルの片方は性的モノ化されているように感じてしまう。

上記3種類の親密さのうち、ひとつを改善していくとほかの種類の親密さも自然と深まっていくことがあるという。パートナーと一緒に泣いたり笑ったりする感情や、過去や未来を共有することで性欲が芽生えることも多々あるそうだ。