政権返上の後、立憲は何を学んだのか? 田原に泉健太が語った本音

田原総一朗直撃インタビュー【後編】
新代表・泉健太はいつの間にか埋没してしまった立憲民主党をどう再建していくのか。前編に引き続き、ジャーナリスト・田原総一朗がその本音を問う。

官僚になりがたらない東大・京大の学生

田原 日本はこの30年間、まったく経済成長してきませんでした。かつて日本の平均給与は韓国の2倍以上だったのに、平均給与は1990年に比べてたった18万円しか増えていません(424万円)。2015年には、韓国に平均給与を抜かれてしまいました。

 日本政府は、若者世代の将来不安を解消する手立てを打ってきませんでした。我々が民主党政権時代に子ども手当を創設して「幼児教育を無償化すべきだ」と言ったとき、自民党は「社会主義的な政策だ」と真っ向から否定したものです。安倍政権のギリギリ末期になってようやく、自民党は対野党の選挙対策として幼児教育無償化を実現しました。少子高齢化を防ぐための子育て支援は遅れ、若者世代の賃上げもちっとも進んでこなかったのです。

子育て支援を早急に進めるべきだ。と同時に労働分配率が下がっている現状を是正し、国民の側に適切に分配を進めれば、消費による経済回復は可能である――我々はずっとそう主張してきました。

Photo by Shinya Nishizaki
 
Photo by Shinya Nishizaki

田原 90年代初めに、日本のGDP(国内総生産)の国際シェアは17%でした。今は6%と、30年前の3分の1まで落ちこんでいます。しかも教育に対する日本の投資は、先進国の中で最低です。

 OECD(経済協力開発機構)諸国の中で最低です。自民党は家族中心主義を党是として掲げてきた保守政党ですから、公助を強化する政策に対して抑制的な考え方が強いのでしょう。「子育ても教育も介護も、家庭の中で一義的に進めていきなさい」と強調してきた結果、若者世代の将来不安はちっとも解消されず、少子高齢化に歯止めがきかないのです。

田原 フランスでは、子どもを生むと政府がどんどん援助してくれます。1人よりも2人、2人よりも3人生んだほうが得するのです。なぜ日本もそうしない?

 シングルマザーの家庭で親に育てる力があろうがなかろうが、子どもをもつことによって生活が楽になる社会に変えなければいけません。

田原 こんな大矛盾は、泉さんの立憲民主党がガンガン文句を言って直すべきですよ。

 先の衆議院選挙の政権公約の中で、立憲民主党は「子ども・子育て予算を倍増します」と宣言しました。この点は、これから声を大にして訴えていきます。

田原 東大や京大を卒業した学生の多くは、霞が関(中央官庁)の官僚になって国のために貢献するのがかつては当たり前でした。このところ、東大や京大を出た学生がちっとも国家公務員になりたがりません。日本の将来にとって大問題ですよ。

 国が教育への投資を渋り、「教育のコストは自己責任でまかなえ」というのが大前提の世の中です。これでは若者が「自分がここまで来れたのは国のおかげだ。大学を卒業したら、官僚になって国民のために働き、国に恩返しをしよう」という気持ちにはなれません。

田原 菅義偉前首相は「自助」と「共助」を強調しました。

 格差が広がる今の世の中で政治家が「自助」を強調するとは、国民を棄民する行為に等しいと怒りを覚えます。

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