2022.02.11
# 映画

「怪獣造形の専門家」が語った、特撮文化の苦境とそこにある「希望」

新しいスタイルの怪獣映画を待ち望む
武井 保之 プロフィール

――その違いを出すためにこだわったのは、具体的にどのようなところですか?

ゴジラの造形のポイントは、やはり顔がキノコ雲を連想させるところ。元々、水爆や原爆への警鐘を鳴らすための作品であり、それを象徴するのがゴジラの顔。ゴジラの持っている一番のテーマです。希望にはそれをイメージさせる要素は一切入っていません。キノコは入っていますけど。

新宿東宝ビルにあるゴジラの顔[Photo by gettyimages]
『大怪獣のあとしまつ』に登場する怪獣「希望」の頭部(松竹提供)

――「怪獣といえばゴジラ」というくらい、日本人の意識には強く刷り込まれています。そのイメージから脱却させる怪獣を作るのは相当難しかったのではないでしょうか。

むしろゴジラの方が、いろいろな制約が重くのしかかってきて、気を遣いながら作っていました。そういう意味では、今回はゴジラという枠から解放されて考えることができたので、ゴジラを作る時のような難しさやプレッシャーはなかった。

純粋に今作ならではの怪獣造形を楽しむことができた気はします。ただ、自分のアイデアというよりは、三木監督が頭に描く怪獣の姿やイメージを形にしていくのが今回の僕の仕事でした。

 

――三木監督とはどのようなやりとりがあったのでしょうか。

単純です。話し合いをして模型を作り、そこから「ここはこうして欲しい」「こうなった方がいい」という三木監督の希望を加えながら作り直していく作業の繰り返し。一進一退ではなく一進一進でしたが、なかなか手強かったです(笑)。三木監督の好みとか趣味趣向の部分も造形にすごく影響してくるので、カウンセリングではないですが、深層心理を聞き出していくような作業もありました。

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