映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』
ネイサン・グロスマン監督インタビュー

ポスター画像 ©2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.
私が学校ストライキを始めたことで、いろいろなことが起こったのは確かだけど、残念ながら私たちはまだ出発点から先に進んでいない。今はまだ必要な変化や問題意識の高まりもまったく見えてこない。とにかく私たちが社会に求めているのは、気候問題を危機として捉えること、そして、安全な未来を守ってほしいということだけ。映画を見れば、その実現までどれ程遠いのか、分かってもらえるはず。もう時間がないんだという科学的なメッセージが伝わっていないことも。――グレタ・トゥーンベリ
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Q.グレタに注目して、映画を撮り始めたきっかけは?

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A.グレタの家族と知り合いだった私の友人から、気候変動の危機に対する政府の無策に抗議するため一人の少女がストライキをするということを聞いた。グレタがストライキを始める1年前(2017年)はスウェーデンでも記録的な猛暑や森林火災が起こったということもあり、そのトピックに自分も興味があった。初日に彼女の様子を見に行ったことから始まりました。


Q.監督が知る、グレタの素顔や魅力を教えてください。

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A.知的で、意志が強く、そしてとても楽しい人。音声の担当がヘッドフォンを外さなくてはいけないほど、彼女は大声で笑うこともあったよ。彼女に対してすごいと思ったのは、環境問題という複雑な問題を科学的な根拠に基づいて“簡潔に”言語化することができるところ。事実を伝えるだけでなく、感情をこめて訴えるグレタを見て、彼女から見える世界に興味を持ちました。


Q.活動を間近で見ていた中で印象的なエピソードを教えてください。

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A.スウェーデン国内では有名になるだろうと思っていたけど、国際的にここまでになるとは思っていなかった。最初はシャイだった彼女が1年の間にどんどん人と話すようになり、とても成長しているのを感じました。特にストライキからわずか9ヵ月後にローマ教皇と対面したのはとても印象的な出来事だった。気候変動問題について不満を表現してくれる誰かを、世界がこれまでずっと待っていたんだと思います。何の対策もされず、年月が積み重なったせいで今の現実がある。もうそんな状況とは異質の時代に移りつつある。グレタの生い立ちやアスペルガー症候群であることも相まって、人々は彼女に共感できたのだろうと思います。


Q.監督が映画に込めた思い、一番伝えたかったことはなんでしょう?

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A.グレタの思いを通して、気候変動を調べるきっかけになれば嬉しい。若い人は、長い間話し合われているのに全く進歩しない気候変動の危機についてたくさんのフラストレーションを感じている。そのフラストレーションを観る人にも感じてほしい。グレタの人となりを理解することで、なぜ彼女や活動する人々が闘っているのかを知ってほしいですね。グレタに限らず、メディアに出ている人は一面的に伝えられているけど、多面的であることを伝えられるのも映画の力だと思っている。いろいろな考え方があり、排除せず受け入れること、多様性についても考えてほしいと思っています。

映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』
2018年、スウェーデン・ストックホルムにある国会議事堂前で学校ストライキを始めた少女グレタ・トゥーンベリを、映画監督でカメラマンのネイサン・グロスマンが撮影したドキュメンタリー。これまで誰も知らなかったグレタの素顔を知ることができる貴重な映像の記録となっている。2020年のヴェネチア国際映画祭やトロント国際映画祭などで高く評価され、世界20ヵ国以上で公開された。日本では2021年10月より、全国の映画館にて公開中。

greta-movie.com
監督・脚本:ネイサン・グロスマン 出演:グレタ・トゥーンベリ、スヴァンテ・トゥーンベリ、アントニオ・グテーレス、エマニュエル・マクロン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ドナルド・トランプ他 2020年/スウェーデン/ドキュメンタリー/101分/ビスタ/5.1ch/原題:I AM GRETA 日本語字幕:石塚香 配給・宣伝:アンプラグド

●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
※一部映画のパンフレットより構成
Photo:Anders Hellberg Coordination:Akiko Frid Text & Edit:Chizuru Atsuta