2022.01.23
# ドラマ

大ヒット『鎌倉殿の13人』、「鎌倉時代の全体像」をつかむための「最高の方法」があった…!

堀井 憲一郎 プロフィール

俗説、通説、異説を紹介したあとに、現在の学界の状況にも触れて、ありがたい。

 

「鎌倉幕府はいつできたか」問題

古来、議論となる「鎌倉幕府はいつできたのか」にも言及がある。

私個人は、さほど問題にするようなことではないかと常々おもっている点ではあるが、でもテレビショーで「いまの教科書では鎌倉幕府成立は1192年ではなく1185年となっている」という、かなりふわふわした話題が出て来たりして、なかなか無視しにくいポイントである。

私が子供のころ(1960年代)、鎌倉幕府成立は1192年であった。

引いたところから見れば、どうせ大まかにしか決められないんだから「いい国作ろう」と語呂合わせもいい1192年としても何も問題はないだろうに、といまでもおもっている。

1185年説は、頼朝の非常時の権限(文治の勅許)をもって鎌倉幕府の始まりとする説であり、これもまたけっこう古い学説である。私が高校2年(1974年)の初夏に、日本史の授業でこれをしっかり聞いた覚えがある。50年近く前に「高校の日本史授業で紹介される」ほど周知されていた学説だったのだ。

そんな「古い新説」へのいまさらの変更はどうなのかとおもっているのだが、そのあたりは本書でも指摘されている。

1185年に頼朝が全国支配の根拠を得た、という「古典的見解」は、現在の学界ではほぼ否定されている、とのことである。

当書では「建久の新制」(建久2年/1191年)には幕府は成立していた、と見做している。

最近出た別の本では1180年(治承4年)に鎌倉に本拠地を置いた時点で幕府成立と見るべきとの指摘もあった(本郷和人『北条氏の時代』)。さすがにそれはちょっと早いなとはおもうが、でもまあ、論者が何を大事にするかという視点の問題でしかないので、何か争ったところであまり意味がない。

関連記事