2022.01.23
# ドラマ

大ヒット『鎌倉殿の13人』、「鎌倉時代の全体像」をつかむための「最高の方法」があった…!

堀井 憲一郎 プロフィール

頼朝は自分の死後、息子の頼家が「鎌倉殿」となったおり、その権威を高めようとして頼家の姉(大姫)の入内計画していたのではないか、と指摘している(うまくいけば、頼家は天皇の叔父になれ、その権威はとても高まる)。

「頼朝後の鎌倉」を想定した行動だったということだ。

 

異様な出世

実朝の位階上昇も同じ文脈でとらえられている。

建保6年一年のうちに、権大納言から左近衛大将、そして内大臣から右大臣と異様なペースで出世していった源実朝について、古来「後鳥羽上皇の陰謀によるもの」というのが通説であった。

しかし本書では、後鳥羽と実朝は協力関係にあったはずだと説く。

まもなく将軍職を辞職して、朝廷から親王を招聘して次の将軍に据え、実朝はその後見役に就く予定だったはずだと説明する。

天皇の子息を後見する立場として、実朝は朝廷内でもほぼトップの位階に就いていないとバランスが悪いということで、急ぎ、その位階を上げていったというのが当書の説明である。

とてもわかりやすい。

歴史を未来の結果から振り返らず、その時点で何をやろうとしていたかという視点が貫かれていて、読んでいて、まことに心地がいい。

13世紀から14世紀の鎌倉政権の歴史を見ていて、実朝以降の「摂家将軍」「親王将軍」というのが私は個人的にどうも理解しにくい存在だったのだが、それは「公武対立」という概念にとらわれていたからのようである。

本書によって、実朝や北条氏らの狙いがよくわかり、とてもすっきりする。

まさに歴史書を読む醍醐味を味合わせてくれる。

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