改名が功を奏した「お~いお茶」
住宅メーカーの大和ハウス工業が提案した「名もなき家事」。これも「見える化ネーミング」がうまくいったケースです。

名もなき家事というのは、名前がついていないようなこまごまとした家事のこと。実はこういう家事にすごく時間をとられている実態があることを見える化させたネーミングです。
ちなみに、名もなき家事ランキングトップ3はこれだそうです(ベネッセコーポレーション『口コミサンキュ!』「名もなき家事」投稿募集サイトより)。
【2位】 玄関で脱ぎっぱなしの靴の片づけ・下駄箱へ入れる/靴を揃える
【3位】 トイレットペーパーの補充・交換
「名もなき家事」は、多くの人が感じていた「家事の困りごと」を見える化したとてもいいネーミングです。
僕がすごいと思ったネーミングのひとつに「ご当地グルメ」があります。
いまや当たり前のように使われている言葉ですが、この言葉ができたことで、地域振興にもつながるさまざまな「ご当地グルメ」が生まれたのではないでしょうか。
ご当地グルメは、古くからある「郷土料理」とは違い、その地域に根付いた料理でなくていいそうです。伝統にこだわらず開発され定着していった料理も多く、ご当地ラーメン、ご当地焼きそばなど細分化され、いまや数えきれないほどの料理が生まれています。
これもネーミングされたことによって、より広がっていったケースではないでしょうか。
ここでひとつネーミングに関するクイズです。
お茶ブランドとして確固たる人気を誇る伊藤園の「お~いお茶」。
このお茶、もともとは違う名前だったそうです。
どんな名前だったでしょうか?
かなりストレートな名前だったんですね。
1970年代の伊藤園のテレビCMで「お~いお茶」という呼びかけのセリフがあり、そこから採用し、1985年に発売した「缶入り煎茶」というお茶を4年後に「お~いお茶」に変更したそうです。
改名によって売上が何倍にも伸びたそうで、いまでも愛されるブランドに育っていったそうです。
「缶入り煎茶」は確かに商品の説明として正確です。でも、魅力的な商品に見えるかというとどうでしょう。「缶入り煎茶」という名前のままだったら、いまも残るブランドにはなっていなかったんじゃないでしょうか。名前を変えてうまくいった「伝え方上手」な事例です。