中国がアメリカを抜いて「経済で世界一」になる前に、日本が採るべき路線

経済はアジア、政治はアメリカ
羽場 久美子 プロフィール

10年後、アジアで生じる「緊張の激化」

中国は、早ければ2028年にはアメリカを凌ぎ世界第1位の経済大国になる。インドは2030年には日本を抜いて世界第3位になると言われる(英国の民間調査機関「経済・ビジネス研究センター」CEBR(2020.12.26)、BBC News(12.27)+米国家情報会議(NIC)12月10日に発表した報告書「2030年の世界展望:変貌する世界」)。

あと10年で中国とインドの時代が始まる。その前にアメリカは、米英豪仏の「価値の(軍事)同盟」でそれを押しとどめようとする計画を掲げている。アジア諸国は少なくとも、アジアでの米欧の代理戦争を避ける決意を表明すべきであろう。

アメリカの元NATO欧州連合軍最高司令官によるリアル小説『2034』は東アジアの局地紛争が尖閣・台湾・南シナ海のどこかで、もうすぐ起こると予測している。

もし東アジアで局地紛争が起これば最も被害を受けるのは日本列島である。

小説『2034』の著者で、元NATO欧州連合軍最高司令官のジェームズ・スタヴリディス氏[Photo bey gettyimages]
 

日本の「地政学的な危うさ」

日本は、通常の地図で見る限りは大陸の極東に位置する小さな島国であるが、北を直角に西に倒すとその地政学的重要性が一変する。明らかなように、ロシア・朝鮮半島・中国に対し、それらの国々が、太平洋に出るのを遮る、3000Km に及ぶ自然の要塞である(地図を参照)。

世界地図を回転させると、日本の地政学的な位置がわかる。台湾と連携することで、アメリカにとってはロシア・中国・北朝鮮を封じ込める3000キロの要塞、前線基地となる[Photo by iStock]
拡大画像表示

米欧の「価値の同盟」に乗って、アメリカの軍事力の肩代わりを承諾した時、日本列島は、ロシア・中国・北朝鮮の目と鼻の先の最前線で、比喩的な意味ではなく地理的にも、アメリカへのミサイル発射を妨げる(イージス艦で撃ち落とす)位置にあることを認識する必要がある。アメリカが日本を守っているのではない。日本がアメリカを守る構図である。

それゆえアメリカを守るためにイージス艦を1兆円も払って購入し、日本が中国に対する守りの最前線に立つ必要はない。

関連記事