2022.02.03
# 介護

「ここにいたら歩けなくなる」精神科病院に予期せぬ入院をした67歳母が怯える「不安な環境」

近年、社会問題となっている、若くして祖父母、両親の介護を担わざるをえなくなった「ヤングケアラー(若者介護者)」の存在。奥村シンゴさんの『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』は、みずからの壮絶な体験をもとに、この問題に鋭く迫った一冊だ。

そんな奥村さんが経験した、コロナ禍での母の介護。精神科病院に入院せざるを得なかった母は当初からその「環境」を不安視していたという。奥村さんが経験した、過酷な介護の実態とは。

精神科病院への入院を決断するまで

67歳の母親は、2年前から腹痛と便秘に悩まされ、6ヶ所の病院を受診しました。病院で血液検査、レントゲン、超音波検査、CT、胃カメラ、大腸カメラとさまざまな検査をしましたが異常ありませんでした。

Photo by iStock

どの病院でも「検査などで異常が現れないものの、心理的な要因で痛み・吐き気・倦怠感・手足のしびれなどが続く、身体表現性障がいでしょう」との診断。

母親は、主治医の診断後も私の家に来て「足がひきつってんねん、痛い、どないしよ」、「お腹が痛い、痛い」と転げ回り、救急車を呼び病院に搬送されるも異常なしと診断され帰ってくる毎日……。

おおかみ少年のように救急車を呼ぶので、病院が受け入れを断るケースが増えました。

「お母さん、一人で生活するのは難しいで。体調が安定するまで一緒に住もうや」

私が提案するものの、母親は首をたてにふりません。おそらく、私に迷惑をかけたくないのと、一人暮らしが慣れて楽だったのでしょう。

私は、せめて母親が介護サービスを利用できれば自宅で生活できる可能性があると思い、要介護認定を申請したものの、身体的な疾患がなく「要支援2」。

「要支援2」では、ヘルパーと訪問看護師に週2回、1時間ずつ来てもらうだけで、1ヶ月の介護サービス上限額に達してしまいます。

母親は、毎週、ヘルパーと一緒に散歩をして、訪問看護師に腹痛や便秘を診てもらいましたが症状が改善しませんでした。

母親の症状は少しずつ悪化。食欲も低下し、服薬管理体重が36キロから31キロと5ヶ月間で5キロも減少……。

私は、「一人で生活するのは難しい。少しの間体調を整えて、体重を元に戻して元気で帰ってきてほしい」と願い、母親に一時的な入院をしてもらおうと決断しました。

 

ところが、病院は、母親が低体重・低栄養・精神疾患とハイリスク・ノーリターンであるのと、コロナ禍が重なり、受け入れをことごとく拒否。そこで母親のケアマネージャーや訪問看護師に相談すると、精神科病院に空きがあるのがわかりました。

「このままご自宅に一人で住んでいたら、もっと体重が低下してしまって栄養失調になったり、他の病気を併発したりする可能性が高く、命の危険があります。少しだけ入院しようね」

精神科病院の入院を拒む母親を主治医がなんとか説得して、医療保護入院が決定しました。

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