経済成長が見込めない日本に最も必要なのは「成熟社会のデザイン」である

“社会の潮目”が大きく変化している
広井 良典 プロフィール

では現実の社会において、この両者(福祉・格差と環境)はどのように関係しているのだろうか。

それを国際比較にそくして示したのが(図2)である。これは「持続可能な福祉社会」指標と呼べるような試みで、図の縦軸はいわゆるジニ係数で経済格差の度合いを示している(上ほど数値が大きく格差大)。他方、図の横軸は環境のパフォーマンスに関する指標で、ここでは「環境パフォーマンス指数(EPI: Environmental Performance Index)という、イェール大学で開発された環境に関する総合指数を使っている(環境汚染、二酸化炭素排出、生態系保全等に関する指標を総合化したもの)。そして軸の右のほうが環境パフォーマンスが高い(脱炭素や生態系の保全に関して成果を上げている)ことを示している。

図2

このように、通常は一緒に論じられることの少ない「格差」と「環境」を総合的にとらえる時、興味深いことに、両者の間には一定の相関があることが図から見て取れる。

つまり図の左上には、アメリカ、韓国、日本といった国々が存在し、これらは概して「格差が大きく、また環境面でのパフォーマンスが良好でない国」ということになる。

他方、右下のほうのグループは「格差が相対的に小さく、また環境のパフォーマンスが良好な国」であり、スイスやドイツ、北欧などの国々が該当する。これらはまさにここで論じている「持続可能な福祉社会」の像に近い国々と言える。

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