経済成長が見込めない日本に最も必要なのは「成熟社会のデザイン」である

“社会の潮目”が大きく変化している

前編「岸田内閣『新しい資本主義』が話題の一方、多くの人が誤解している『資本主義とは何か』」では、「そもそも資本主義とは何か」という話題から始めて、昨今話題になっている「緑の成長」と「脱成長」の対比について論じるとともに、資本主義が修正を重ねながら進化をとげ今日に至っている流れを述べた。

後編ではそうした歴史的展望を踏まえ、私たちがこれから迎えようとしている社会のビジョンと、日本にとっての課題について考えてみたい。

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「持続可能な福祉社会」のビジョン

それでは以上のような認識を踏まえた上で、これから私たちはどのような社会システムを構想すべきなのか。

私自身は、2001年に出した拙著『定常型社会』以来、一貫して「持続可能な福祉社会」と呼びうる社会像を提案してきた(『持続可能な福祉社会』(2006年)、『グローバル定常型社会』(2009年)、『ポスト資本主義』(2015年)等)。

大きく言えば「持続可能な福祉社会」とは、「個人の生活保障や分配の公正が実現されつつ、それが資源・環境制約とも両立しながら長期にわたって存続できるような社会」を意味している。この性格づけにも示されるように、それは

●富の「分配」の平等、公正……福祉
●富の「総量」の持続可能性……環境

という、別個に論じられることの多い「福祉」と「環境」の問題をトータルに考えていこうという関心がベースの一つにある。これは先ほどの資本主義の“二重の修正”という論点とも関連しており、言い換えれば、「持続可能な福祉社会」とは資本主義がその進化の果てに行き着くはずの究極の姿とも言えるだろう。

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