父は俳優・映画監督、母はエッセイスト・コメンテーターという芸能一家にうまれた、映画監督の安藤桃子さん。現在39歳、女の子を育てるシングルマザーでもある。親の存在がついて回る幼少期を経て、海外留学で自分を探し、映画界へ飛び込む。映画のロケで訪れた高知県に運命を感じて移住を果たし、結婚・出産、そして離婚……。そんな安藤桃子さんの半生を綴った初のエッセイ『ぜんぶ 愛。』刊行にあたり、ご本人にお話を伺った。前編【映画監督・安藤桃子「ぜんぶ 愛。」芸能一家に生まれ出産・離婚…身につけた“受け入れ術”】から続く後編です。

『ぜんぶ 愛。』安藤桃子/集英社インターナショナル

「親ガチャ」私は、アタリもハズレもないと思う

――父は奥田瑛二さん、母は安藤和津さんという芸能一家に育った安藤さんは、2021年のトレンドワードでもあった「親ガチャ」。この言葉を安藤さんはどう受け止めますか? また、安藤さんご自身は親ガチャ、アタリorハズレ? いかがでしょう?

安藤:私は「親ガチャ」そのものにアタリもハズレもないと思います。自分自身含めて。ただ、受け止めなければいけないことは「ハズレだよね~」と言って、笑い飛ばすしかないくらい、生い立ちや環境にキツさを感じている若い人たちが、たくさんいるということ。

写真/著者提供
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その心の声にきちんと寄り添って、この問題を大切に共にみていくことだと思います。あたたかな社会の在り方として。

親は選べるものではないし、それこそ運だと言う人もいる。でも、「選んで生まれてきた」と言える人生にしたいですよね。だから“親ガチャ”という表現に、寄り添うなら「出たものをどう扱ったらいいのだろうか?」という部分を、ともに考えていくことが大切かと思います。

見方によってですが、例えばすごく裕福で恵まれてみえるのに命を絶つ子もいれば、周囲から見たら困難な環境でも逆境をバネに幸せをつかむ子もいる。誰かの心に「なんで社会ってこうなんだろう……」という小さな怒りがあるなら、「自分もそうだった。わかるよ、その気持ち」と、まずは共感していくことだと思います。

実際のおもちゃのガチャガチャは、そもそもアタリハズレではなく、出たおもちゃを受け取った人がどう捉えるか。前半にお話したことに通じますが答えは、自分の“内側”にある