コツコツ貯めてきた会員から「お怒りの声」
20年以上前からポイント制を採用している、岐阜県のとある公立小学校PTA。このPTAで、2017・18年度に副会長を務めたTさん(40代女性)は、入学して間もなく、ポイント制に違和感を抱くようになったといいます。
「初めて学年長をやったとき、委員のなかに一人でお店を切り盛りしている方がいたんです。その方はPTAの集まりはもちろん、授業参観などの学校行事にも来られませんでした。その方がお店を閉めたら、その分お店の売り上げがなくなるので、当然でしょう。でも、PTAのなかでその方を責める声があがったので、『これはおかしい』と思って」
Tさんはこのとき、心の中で「来年度は本部役員になって、いつかこの仕組みを変えてやろう」と決意したのでした。
計画通りに副会長となったTさんは、役員2年目のとき、ポイント制をやめることを提案します。幸い、ほかの本部役員からは反対の声は出なかったのですが、ほかの会員から「ポイントをコツコツと積み上げてきた私たちはどうなるのか」という「お怒りの声」があがったといいます。

PTAは何のために存在するのか?
そこでTさんは、表面上ポイント制は残したまま、「理由を問わず、誰でも役員や委員になることを辞退できる」ルールに変えようと考えます。それなら少なくとも、ポイント制で苦しむ人は、なくすことができます。
しかしこの案も、すぐには受け入れてもらえませんでした。「そんなのズルい」と考える人たちがいたのです。そこでTさんら役員は、近くの公民館を借りて説明会の場を2回設け、会員の人たちから質問や意見を受け付けたところ、ポイント制の見直しに反対する保護者が10人ほど訪れたそう。