2022.02.21
# 勉強法

オックスフォード大教授が教える「デマ」や「陰謀論」にハマる人の思考法

名著『知的複眼思考法』に学ぶ(1)

四半世紀もの長きにわたって、若いビジネスパーソンや大学生に読み継がれてきた書籍が、「独学に役立つ名著」として、いま再び注目を集めている。
1996年に刊行された『知的複眼思考法 誰でも持っている想像力のスイッチ』(講談社+α文庫)。著者の苅谷剛彦氏は、東京大学教授を経て、現在はオックスフォード大学教授として教壇に立つ。

本書は社会に出る若い人たちに対し、「常識を疑い、自ら学び、自ら考える」ことの重要性を説いたものであり、その思考法は古びるどころか、長期化するコロナ禍にあって、いまこそ必要なものだ。5回にわたって、そのポイントを紹介する。

わかりやすい二分法的味方の落とし穴

何ともいえない不透明感が私たちを取り囲んでいる。他方で、善か悪かといった白黒の決着を迫る、わかりやすい二分法的なものの見かたが広まっている。改めて「自分の頭で考える」ための方法を、できるだけ多くの人々が身につけることの重要性を痛感する。

不安や失望、不信といったネガティブ・イメージが私たちの日常を覆っている。金融システムや財政がいつ破綻するのか。不況からの脱出口が見えないまま、リストラや倒産がいつ自分の身に降りかかるか。狂牛病への行政の対応や、その後の食品メーカーの不正事件は、日常生活に直結する行政や企業への信頼を失墜させた。

さらには、政治家とカネと官僚の癒着がもたらす度重なるスキャンダルは、政治や行政への不信をつのらせる。問題が多発するのに、それぞれの問題解決への決め手が見つからない。たとえ問題への対処のしかたがわかったとしても、その実行を阻む別の問題がすぐそばに控えている。失望感や不安感が充満する時代の中で、それでもなお、私たちは日々何らかの選択や決定をしながら生きている。

 

だからこそ、ネガティブ・イメージにとらわれずに、意気消沈せず、ヤケにもならず、自分たちでしきり直しをする覚悟が必要なのであり、自分で考えることが求められるのである。

他方で、2001年9月11日以後、「世界が変わった」といわれる。正義か邪悪かといった、アメリカ流の世界観が世界に伝わった。そこに典型的に表れているように、白か黒かの決着を迫る思考が広まりつつある。

〔photo〕 iStock

内に目を向ければ、「構造改革」派か「抵抗勢力」かといった、善玉か悪玉かを単純に区別したがるものの見かたである。出口の見つからない不安感や失望感を背後に抱えているだけに、わかりやすい二分法的思考法が受け入れられるのである。

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