なにやら二階で母が…

15時。
窓ガラスだけは拭いておくかと庭に回る。だいぶサボっていたザラメのような窓をスポンジで落としていく。
……なにやら二階で母が怒鳴っている。くぐもってはいるが単語、単語は聞き取れる。
どうやら姉が自室でウ〇〇を……漏らしたらしい。

外窓から一階の居間を覗くと
呑気にピーナッツを食べ、茶をすすっている父が見えた。
窓の内鍵を開けさせ、父の耳元で大きく丁寧に
「絶対、お姉ちゃんお風呂に入れてね。それくらいやって」と野太い声でドスを利かせた。

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すると、母が居間に降りてきた。始まる……。
「夕ご飯食べた後に、みかんやらリンゴやら食べさすからお腹壊したんだよ! あげるなって言ってるのに! パンツも床もビッチョビチョだよ」

「何? 好きなものを剥いてやって何が悪い? 全部僕が悪いのか!」

「愛情表現が乏しいんだよ。もの与えたら愛か? 犬猫じゃないんだよ! 定年して急に親面して自己満足か? ごっこじゃないんだよ!」

「何だと? 耳が遠いんだ! 聞こえるように言え! ごちゃごちゃ何言ってるかわからない!」

聞こえなくて良かったか。
父にはきつい。
母が正しいと私は思う。ねえ、本当に認知症? 冗談でしたって言ってよ。

ふと見ると。
母が怒り任せにブンブン振り回しているのは、ビッチョビチョのパンツだ。
冗談ではない。

窓を全開にし声を張り上げる。「くさいからあああ!! どうでもいいから掃除してよ!! 朝から! 何で私一人だけが掃除して洗濯して料理して、おまえら何してんだよ!!」

母が言う。
「なあんにもしてないさ! ウ〇〇は見なかったらいい!!」

父が言う。
「換気したらいいんだろ?」

「換気でなかったことに出来るかあああ! クソがあああ!!」

◇見なかったことにも、換気だけでもどうにもならない状況を、果たしてにしおかさんはどうしたのか……後編「にしおかすみこ、大晦日の大ピンチ!認知症の母の行動で阿鼻叫喚の「その後」」で詳しくお伝えする。