煮物を…

昼過ぎ。
掃除の深追いはやめた。もう間に合わない。
料理に取りかかる。

酢の物と、味の染みていないぼんやりな筑前煮が出来た。
姉が覗きに来た。「しいたけさん、ごぼうさん、れんこんさん、にんじんさん、すじーのとおった~~」と歌いながらこちらを見る。

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なんだっけか……ああ、お弁当箱の歌だ。
保育園の遠足。
ウチは毎回ほぼ煮物メインの弁当だったな。タコさんウインナーやウサギっぽいりんご、ラップで巻いたキャンディみたいなサンドイッチが羨ましかったっけな。その横で姉が歌っていた。野菜の種類や順番はその時々で違ったが「すじーのとおったーーー!!」でキラキラさせた目を向けて、必ず私を待つ……ああ。そうだった。

47歳の姉の顔を見る。口をチュウの形で待っている。なかなかのブサイクだ。歳をとったな。
一緒に「フーーーキ!!」と。

満足そうだ。「フキ入ってないよ」と言ったら、

「そおいうとこだよねえ」と肩をすくめオーバーめのリアクションをとる。

しめたろかと思う。
煮物をタッパーに移し
「お姉ちゃん臭いよ、お風呂入ってね!」と振り返る。いない。
居間で母と切り餅の袋を開けようとしている。「風呂!!」返事はない。