「うちは、
母、80歳、認知症。
姉、47歳、ダウン症。
父、81歳、酔っ払い。
ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。46歳。独身、行き遅れ。
全員ポンコツである」

こんなドキッとする書き出しで始まったにしおかすみこさん連載「ポンコツ一家」。2021年9月より毎月20日更新で連載している。

かつてSMの女王様ファッションに身を包んでの漫談で人気を博したにしおかさんが、母親の変化に気づいたのは2020年初夏。コロナ禍で実家に帰ると、家の様相も母親も全く変わっていたのだ。そうして実家に帰ることを決意したにしおかさんが、ヘドロと化した冷蔵庫と格闘したり、麻薬常習者に間違えられたりしながら、家族で暮らしている様子を連載にて伝えている。2020年の6月には病院で軽度の認知症だという診断もおりた。
その連載第5回は、同居するようになって初めての大晦日の「大事件」についてお届けする。

連載1回も大きな話題に…
にしおかすみこ「ポンコツ一家」今までの連載はこちら
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大晦日の朝10時

2020年大晦日。朝10時。
ひとつも掃除が終わらない。

ピンポーンと宅配が届く。シュ、シュと足を全く上げる気のないスリッパ音。母が受け取ってくれたようだ。

箱を抱えながら「……なんだろうかこれ、えらいずっしりしてるよ、骨壺サイズ、不気味だねえ、突き返そうか?」と。

「お節だよ。もう作るの面倒だから通販で頼んでみたよ。三段重ってウチ初めてじゃない?」

「えーお金もないのに。甘いもん煮詰めた寄せ集めを3箱も?こんなもんだーれも食べやしないさ」

嫌なことを言う。喜ぶと思ったのに。
正月くらい正月らしいことをと思っているのに。
台所のベットベトの換気扇を見上げる……くじけそうだ。

振り返ると、
「少しつまんでいいかなあ?」と母がお節を開けている。目が幼い。
ババアと子供の狭間だな。少し可愛い。

「明日、年明けてから食べようよ。あとお風呂入って。もう何週間入ってない? お姉ちゃんも入れて。そんな臭い人達と正月からご飯食べられないよ」

「風呂風呂って。ここではっきりさせとくよ! ママは風呂に入れない人じゃない! 入りたくないんだ!」

なお悪い。
一点の曇りもない不潔宣言。
ちゃんとコンスタントに入っている時もあるのだけど。ムラがある。

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