2022.01.19
# 企業・経営

儲けを求めない「公益企業」、本当に投資する価値はあるのか? その「正しい考え方」

加谷 珪一 プロフィール

つまり株式会社というのは、経営方針をあらかじめ外部に示し、それに賛同する投資家に出資してもらうというのが大原則であり、投資家がその経営方針について納得するのかが、もっとも大事である。

 

株主が納得すれば、どんな経営でもあり得る

通常、投資家というのは利益が欲しくて投資を行うので、ほとんどの株式会社は利益成長のシナリオを示し、会社の利益が最大化するよう行動している。だが、企業の経営方針そのものに賛同し、利益が上がらなくても良い、あるいは損をしてもよいと考える投資家が存在するのなら、その投資家は当該企業に投資をするかもしれない。投資をするしないは自由なので、後は投資家次第ということになるだろう。

だが、現実問題として「損をしてもよい」と考える投資家はほとんど存在しない。声高に公益を口にする人は、たいていの場合、自身がその公益から個人的利益を得ており、自身の資産が犠牲になる場面に遭遇すれば、ほぼ100%その立場を豹変させてしまう。

一般的にお金というのは命の次に大事なものであり、その大事なお金を無くしてもよいなどと考える人は皆無に近いので、結果としてボランティアのような投資が成立する可能性は極めて低くなる。では、なぜ「利益を最大化しない」と公言している企業に投資する人が存在するのだろうか。

当たり前のことだが、それは利益が上がると投資家が考えているからである。

今後、地球環境に対する制約が厳しくなり、環境を軽視する企業に何らかの社会的ペナルティが課される可能性は否定できない。結果として環境を重視する企業の方が相対的に高収益になるというシナリオはあり得るだろう。同様に、何らかの社会的制約によってステークホルダーを重視する企業の方が高収益になるケースも考えられ、その場合には、当該企業に投資した方が利益を上げやすくなる。

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