
2022.01.21
“金曜にカレーを食べる”はウソだった…太平洋戦争中に兵士が食べていた「艦隊グルメ」

船が沈まなければ、飯は食える
─戦争というと食糧難というイメージでしたが、色々な料理を食べられたというのは意外です。
藤田:食糧難のイメージも決して間違いではないんです。実際に陸軍の最前線では、補給が途絶えた状況はかなり悲惨だったと聞きますし。ただ、海軍の場合は、出港する際に航海中の食料を積んでしまうので、艦が沈没しない限りはご飯が食べられないということはありませんでした。
─船の上で釣りをしたりすることも?
藤田:原則、魚を生で食べることは禁止されていたんですが、実際は結構釣りなどやっていたみたいですね。実は今日、参考資料になるかもと持ってきたんですが…。
これは、『毒魚毒草図鑑』というもので、海軍すべての艦に配布されていたようです。しかも当時としては珍しいフルカラーイラスト付きなんです。
海軍としてはこれを見て、「食べて大丈夫な魚かどうかは各自判断しろ!」ということなんでしょうね。

─海軍の戦争時の食事事情には意外と知られていない事実が多いですね。
藤田:どうしても、戦時中の食事というと戦争映画や小説で描かれる悲惨なイメージが強いと思います。実際、間違っているわけではないのですが、一方で「艦隊のシェフ」で描かれているような事実もあるわけです。「戦争していることが日常であること」の兵士たちの日々の生活や食事などを通じて、彼らの人生の一端を感じてもらえるといいかと思います。
藤田昌雄(ふじた・まさお)
1972年、東京都に生まれる。日本陸軍を中心に兵站、軍事史を研究する。軍事史学会会員、軍事法規研究会顧問。『陸軍と厠 知られざる軍隊の衛生史』(潮書房光人社刊)『写真で見る海軍糧食史』(光人社刊)など著書多数。
1972年、東京都に生まれる。日本陸軍を中心に兵站、軍事史を研究する。軍事史学会会員、軍事法規研究会顧問。『陸軍と厠 知られざる軍隊の衛生史』(潮書房光人社刊)『写真で見る海軍糧食史』(光人社刊)など著書多数。
撮影/井上孝明 料理/藤川よつ葉