いい治療できているが、選択肢はまだ少ない

このように感染者数の増加、続く感染の波など、コロナ禍ではネガティブな情報が多いですが、いいニュースも出てきています。それは、効果的な治療法の開発が進んでいることです。

例えば、先月 ファイザー社が開発した『PF-07321332/リトナビル錠』という経口抗ウイルス薬の緊急使用許可がおりました(日本では、1月14日に日本における製造販売承認申請を発表)。現状では製造数が追いつかず限られた使用しかできていませんが、今急ピッチで製造が行われています。

アメリカでは数週間後には使えるだけの数が病院に届くだろうと予想されています。日本でも徐々に使用できるようになるでしょうが、現時点では誰もがスムーズに使用できる形ではありません。

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他にも、この先数ヵ月で新しく承認されそうな治療法も審査されています。このように治療の選択肢が増えることはとても素晴らしいことです。有効な治療薬が出てくれば、万が一感染しても「武器」があります。でも、現時点では武器の数がまだ少ない。そう考えると、感染するなら、使用できる治療法の選択肢が多くなってから、戦える装備が整ってからがいいと私自身は思うのです。潤沢に治療薬が選択できるまでは、しっかり予防をして、かかるかもしれない時期を先延ばしに、と考えます。

コロナではありませんが、1980年代HIVは不治の病、死の病と言われていた時期がありました。ところが1990年代には、よく効く薬が選択できるようになり、きちんと治療をすれば、不治の病ではなくなりました。ほんの数年の差が HIV 陽性になった場合の治療法の種類、そして患者さんの予後に大きく影響したのです。

不治の病と言われたHIVも治療研究が進み、現在は感染予防薬なども開発されている。photo/iStock

今回のコロナも、近い未来には選択肢が増える可能性は非常に高い。今は予防し、かかる時期を先延ばしにすることには大きな意味があるのです。