重症化しなかったとしても感染増で起こる医療崩壊

感染者が増えることで医療現場にどんな影響が出るかは、コロナ禍になってから何度も語られてきました。すでに耳にタコかもしれませんが、オミクロンでも医療現場への影響がもっとも重要な課題になります。

例えば、数十人のコロナ感染症入院はなんとかなっても、一気に数百人の入院が必要になると、ベッド数不足の問題が必ず発生します。また、入院できたとしても患者数が多くなると、ひとりひとりが受けられる治療の質・レベルが変わってしまうことも考えられます。実際に患者数が多いアメリカでは、コロナ治療で必要な薬品の不足などが問題になっています。今回の第6波は子どもの入院も増えています。限られた医療資源が必要な子ども達にも行き渡るように考えなくてはなりません。

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さらに、コロナ以外の治療が必要になったときに、救急対応もできず、ベッド数不足で入院できなくなることも考えられます。この状態は、すでにアメリカで発生しています。

医療現場ではコロナ前から、ベッド不足や医師不足が伝えられていました。救急搬送される方は、交通事故、心筋梗塞、脳梗塞、切迫流産、自殺未遂など多岐にわたりその数は決して少なくありません。日本では昨年夏の第5波のときに、コロナ患者の搬送先不足だけでなく、一般の救急搬送の方の受け入れ困難の問題が多発しました。

コロナげ急変して入院できないだけではなく、事故や他の疾患でも救急搬送できないケースも生まれてしまう。写真はイメージです。photo/iStock

「でも、オミクロンは重症化のリスクが低いのだから入院は関係ないのでは?」と思う方もいるでしょう。ですが、感染率が劇的に高くなると分母の感染者数が急激に跳ね上がります。そうなると、その中には入院が必要な方も必ず出てくるので、結果としては実際の入院者数はかなり多くなってしまうのです。

現にアメリカでは感染による入院者増加で、他に医療に影響が出ています。私の知り合いは、がんの手術を予定していたのですが、リソース不足で延期と言われてしまったそうです。こういった現状が続けば、オミクロンで重症化しなくても他の疾患の治療できず、亡くなる方も出てきます

健康だと、自分が入院するといったことが想像できないかもしれませんが、自分が意図しない、天災や事故、事件などで救急搬送されることもあるのです。万が一に備えて、医療には余力が必要なのですが、感染者が増えると、そうは言ってられなくなってしまう……。

こういった医療現場の混乱を少しでも改善するためには、パンデミック初期に言われていた、「Flatten The Curve(感染の山を平坦化する)」は大いに意味があるのです。もしも自分や自分の子ども、119しても緊急搬送先がなかったら、ということを少し想像していただき、感染対策を考えてみていただけるといいかもしれません。