2022.01.21

他人事じゃない“天涯孤独”…ひとりで生きるために必要な「心の準備」

「今を生きる」という考え方
古田 雄介 プロフィール

加えて、地縁崩壊の問題もある。高度経済成長期から続く核家族化と都市部への人口集中は結果として単身世帯と引っ越しの増加を招いた。私も就職を機に上京したため、子供の頃から現在までお世話になっているご近所さんは存在しないし、学生時代までの友達は近くにいない。血縁を除くと、「数日間出張するから、ペットを預かって」なんて頼める相手はゼロだ。地元を離れた人間ならさして特殊な状況ではないと思う。

つまるところ、身を寄せる場所を失いやすい世の中になっているのは間違いない。そして、その行き着く先を心配する人もどうやら増えている。

2018年11~12月に朝日新聞が全国の成人に向けて人口減社会をテーマにした世論調査を実施したところ、「孤独死することを心配している」と答えた割合は50%に達したという。2010年に行った同様の調査から13ポイントも伸びたスコアだ。

いずれ天涯孤独になり、周囲にも頼れず、孤独な死を迎える――。

身近でも、そうした将来像を自嘲気味に語る年配の知人がいる。友人が多い人だが、配偶者ときょうだいに先立たれ、子供はいないという。知人と私とはどこに違いがあるのだろう?

Ifの段階で自分と重ねるのは知人に申し訳ない。けれど、先々の不安を考えたとき、知人の将来像は自分にとっても、杞憂な話とは思えない。何しろ死は避けられないし、その順番は支配できないのだから。

 

死後のことは気にしない。いまを生きる

事実上の天涯孤独になる可能性をゼロにできないとしたら、その状況になったときどう生きるかを備えておくことが肝要だ。

その手がかりを求めて、身寄りのない人の傍で生きる2人の専門家を頼った。

一人は遠藤英樹さん。おひとりさまの終活をサポートする株式会社LMNを立ち上げ、契約者の病後や死後のことを“身寄り”に代わってサポートしている。何らかの事情で疎遠になった子が親のサポートを依頼したり、将来を考えた本人が門を叩いたりと、様々なケースを受け止めている。

LMNのホームページより

「天涯孤独の方の依頼は、自立して生きていて、資産もそれなりにあって、今後のことを考えて先んじて色々調べてきたというケースが多いですね」

相続人不在な依頼人はまだ少なく、依頼全体の1割にも満たないという。近所とも職場とも活発な交流があるが、死後のことまで頼める相手がいない。だからLMNを自ら見つけて依頼したというパターンだ。

周囲との距離感を勘案したうえで、先々を見据えた行動がとれる。それゆえか、誰かに託すという生き方はあまり見られないという。

「誰かのことや死後のことは気にしない。いまを生きるためにウチと契約するという傾向が強いかもしれません。投資に精を出している方もいますが、『いまお金が減るのが不安だからやっている』と言うんです。将来設計や目標とかではなくて、『今』なんですよね」

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