箱根駅伝で圧勝優勝した青山学院大学、4年ぶり10度目の大学ラグビー日本一となった帝京大学、それぞれで注目されたのが「選手たちの自主性」だ。主体性を伸ばし、自主性を重んじる指導が結果につながっていることが、次々実証されているようだ。では、どんなスポーツが子どもを自立させられるのだろう。スポーツや教育の現場を長く取材し、自身もバスケットボールで大学日本一に輝いた経験を持つジャーナリスト島沢優子さんが考察する。

「主体性」を重視するチームの増加

サッカーの高校選手権に箱根駅伝等々、年末年始は高校や大学スポーツの全国大会が多数開催される。取材すると、小学生の頃にテレビで観た高校生や大学生の姿に憧れて競技を始めたと語る選手が多い。

そして、これらの大会報道を眺めていると、選手の主体性、自主性を育もうとしているチームが今回は増えたように思う。例えば、全国高校サッカー選手権に出場した北海道代表の北海高校について、こんな記事があった。

主体性がチーム力を向上させる!北海高校、川崎選手とともに17大会ぶりの全国勝利へ』チームは主体性を育て、伸ばすための手段の一つとして、「ボトムアップ方式」を採用。試合のメンバー選考や練習内容の決定、天気や試合分析にいたるまで選手中心で行うという。(日テレNEWS24=12月18日)

「監督を疑え」東海大大阪仰星、マンネリ脱しV』は、高校ラグビーで日本一になった東海大大阪仰星の監督が、それまでより口数を減らし、選手の主体性を育むことに注力したことで、「突出した個の力はないが、めちゃくちゃ自分たちでしゃべれて修正力があるチーム」になったと報じられている(毎日新聞=1月8日)。

実はこの主体性を重んじる流れは、今の子育てにも通じている。小中学校の先生も保護者も、子どもたちが大人の言うとおりにしか動けず、指示待ちで、積極性や創造性がないことを心配している。それは大人が子どもを評価ばかりして成長を待ってあげられないせいだと思うが、環境や教育手法が改革されるのをじっと待っているわけにもいかない。

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どんなスポーツが主体性を育みますか?

問題意識のある親御さんにセミナーや取材で遭遇すると、以下のことをよく尋ねられる。
「どうしたら自分で考えられる子どもになりますか?」
「どうしたら自分から意欲的に取り組める子どもになりますか?」

そして、三つめがこれだ。
「どのスポーツをやると、自分で考えたり、動ける子どもになるんでしょうか?」

つい先日も、取材で知り合ったお母さんから同じことを尋ねられた。保育園の年長さんの息子さんがいるそうだ。自分で考える力を育てたいと言う。
「私はサッカーをすると頭がよくなる気がするんですよ。競技自体いろいろ複雑じゃないですか。それにサッカー選手ってハキハキしてるし、自分を持ってる感じがして。あ、主人ですか? 主人は将来稼げるからゴルフがいいって言うんです」

彼女の話を聞いてうれしくなった。スポーツをすることで自ら考え、動ける子どもになると考える親御さんが増えてきたのは非常に喜ばしい。なぜなら、少し前までスポーツマンや体育会系の人間は「頭も筋肉」「スポーツバカ」などと揶揄されていた。「音楽バカ」といった言葉はあまり聞かないのに、スポーツをしている人は頭が悪い。いや、悪くても仕方ないと考える向きがあった。

ところが、実は運動すると脳は活性化する。スマホが脳に与える影響を解き明かした著書『スマホ脳』が世界的なベストセラー(日本発行部数60万部)になったスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンが昨年上梓した『最強脳 「スマホ脳」ハンセン先生の特別授業』でも、運動が脳を強くすることが示されている。わずか4分運動した子どもの集中力が高まったという。