2022.01.18
# 人工知能

AIが「東大入試」は突破できなくても、「中国の医師国家試験」にはパスした理由

2つの試験の「決定的な違い」
近年ますます進化を続けているAI。囲碁で人間に勝利する、中国の医師国家試験に合格するなど、目覚ましい成果を次々と挙げている。しかしその一方で、「東京大学の入学試験に合格する」というミッションは、いまだ達成できていない。その理由について、新刊『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか』から紹介しよう。
 

人工知能は東大に合格できなかった

ここで、人工知能を使ったとても面白いプロジェクトを紹介したいと思います。

それは、「人工知能を東京大学に合格させる」というプロジェクトです。「東ロボくんプロジェクト」と呼ばれるこの野心的なプロジェクトは、「2021年までに人工知能を東京大学に合格させる」ことを目標として、2011年に国立情報学研究所の新井紀子先生らによって開始されました。

東大入試に合格するためには、大学入試センター試験と東京大学が独自に用意する二次試験の両方を突破する必要があります(大学入試センター試験は2021年より大学入学共通テストへと変更されました)。このプロジェクトでは、ディープラーニングとビッグデータを利用してこれら2つの試験問題を解くことを目標としました。はたして結果はどうだったでしょうか?

Photo by iStock

結論から言うと、プロジェクトが始まって5年目の時点で、センター試験模試における偏差値57.1を達成し、複数の国公立大学やMARCH(明治・青山学・立教・中央・法政大学の総称)にも合格できる水準まで到達しました。

さらに細かく見ると、国語と英語リスニング以外のすべてで平均点以上の成績を取ることができており、特別に苦手としている教科がないという点も特筆に値します。「人工知能」という言葉が広く普及する直前の2016年の時点で、このレベルの人工知能が作られていたのです。

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