2022.01.22

クリエイターとクライアントが不毛な争いを繰り広げてしまう「根本原因」

両者のスタンスの違い

マンガ家やイラストレーター、ミュージシャンなどエンタメジャンルの「クリエイター」と、そうした人たちに対して発注するゲーム会社や広告代理店など「クライアント」の間では、日々揉め事が発生している――そのトラブルの原因となる両者の価値観やビジネスモデルの違いを探り、予防法・対処法を示す『クリエイターとクライアントはなぜ不毛な争いを繰り広げてしまうのか?』(星海社新書)が刊行された。

著者であるプロデューサーの福原慶匡とマンガ家やしろあずきの対談を抜粋掲載する。(*本書からの抜粋箇所:第1章p39〜42「両者のスタンスの違い」)

[PHOTO]iStock
 

「個人」と「会社」、それぞれの理屈がある

福原 クリエイターとクライアントの基本的なスタンスの違いをまとめると、まず「個人」と「会社」、「個人作業」と「集団作業」の違いがあります。

やしろ それがあるから、クライアント側の現場の人間が、上司からの圧があって「悪いな」と思いながらお願いしていてもクリエイターが察してくれずにキレて理不尽に思う、みたいなことが起こるわけですね。クライアントは組織の一員として動いているから、個人の感情だけで締め切りを延ばしたりできない。でもフリーのクリエイターは相手が自分と同じように「個人の裁量で動ける」と勘違いして「なんで融通をきかせてくれないんだよ」と怒ったり、怠惰に感じてしまったりする。

福原 フリーランスからすると「こっちに組織の論理を押しつけられても」と思うだろうけど、そもそも「組織の都合」が存在すること自体の認識がない人もいるから、最低でもそれは知っておいた方がいい。逆にクライアントには、会社員同士なら通じる感覚がフリーにはないので、会社同士の付き合いならのんでもらいやすいところも、そうはいかないと思っておいてほしい。

で、この「個人」と「会社」の違いに加えて、クリエイティブなアウトプットが求められる仕事と、各種の「業者」さんとの仕事との違いがある。たとえば引っ越しにしたって何かの工事にしたって、普通はなるべく安く、短納期でやってくれるところに発注しますよね。受注する側もそれがわかっていて金額とスケジュールで競合他社と勝負していたりする。だから一部のクライアントはクリエイターに対しても「業者なんだからちょっとのムリは聞いてくれよ」「値切って安くしてもらおう」と思っていたりする。

やしろ 僕らクリエイターは「業者」として受けているという気持ちはないから、そういう扱いをされると本当に傷つきます。

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