新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」が、「救世主」とは言い切れない理由

誰に、どんなふうに使われるのか
昨年末に厚労省によって認可された、新型コロナウイルスの飲み薬・ラゲブリオ(一般名・モルヌピラビル)が注目を集めている。【前編】「コロナの飲み薬「モルヌピラビル」は、本当に「救世主」なのか? 最新の研究が示すこと」ではこの薬の作用機序、【中編】「新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」、副作用は大丈夫なのか? 最新研究を徹底解説する」では副作用などについてみた。以下では、流通経路や4種類ある薬の使い分けについて最新の研究から紹介する。(本記事は1月15日時点までの情報に基づいている。)

5日分の薬代は「8万円弱」

昨年末、厚生労働省は新型コロナの軽症患者でも使える世界初の飲み薬・ラゲブリオ(一般名・モルヌピラビル)を特例承認した。ラゲブリオはどのようにして患者まで届けられるのだろうか。

新型コロナは現時点で感染症法に定める指定感染症として2類相当の扱いを受け、医療費は全額無料であること、供給元であるMSD社(=メルク社)側の供給量もまだ限界があることなどから、ラゲブリオは通常の医薬品とは違い、流通は国が一括購入で管理し、必要な医療機関や薬局に無料で引き渡される

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具体的な流通は次のようになっている。

新型コロナ患者が発生する可能性がある医療機関や薬局は、国が供給を委託した製造販売元MSD社が開設した「ラゲブリオ登録センター」に事前登録が必要になる。事前登録後にラゲブリオが必要になったら、医療機関や薬局が同センターに供給を依頼。それから1~2日で医薬品卸を通じて医療機関や薬局に届けられる。

医療機関では、新型コロナの入院患者や往診患者、即時に診断・処方が可能でなおかつ院内処方が可能な場合は外来患者にも処方される。

院外処方(調剤薬局で薬を受け取ること)の医療機関の場合は、医療機関から、ラゲブリオ登録センターに登録済みの保険薬局の中で患者が希望した薬局に処方箋が送られ、患者は医療機関からまっすぐ帰宅。患者の帰宅後に保険薬局が直接か業者を使って配送する。

宿泊療養施設にいる場合も処方箋を受け取った登録薬局が施設に配送する。これは薬局も含め、患者の市中立ち寄りが原因の感染拡大を防ぐための措置である。

やや余談めくが、現在このような形態で公的薬価も決定されておらず、日本政府の調達価格も非公開だが、報じられている米政府の調達実績から試算するとラゲブリオ5日分の薬代はなんと8万円弱。

一部で声高に叫ばれている感染症法上の5類相当に今の段階で新型コロナを引き下げると、患者の自己負担額は薬剤費だけで約2万4000円にもなる見込みだ。

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