出生前診断とは、現在は「出生前検査」と呼ばれ、染色体疾患など生まれつきの病気がある可能性を胎児の段階で調べる検査のことを言う。しかし検査にはリスクも伴うし、心のケアもとても重要だ。そこを受ける前に十分意識せず、相談の体制があまり整っていない施設で検査を受けて、もし問題が生じてしまったら――。

ジャーナリストの河合蘭さんに、今回、自身の体験を語ってくださったのは、周産期グリーフケアはちどりプロジェクト共同代表の大竹麻美(おおたけ・まみ)さんである。前編「41歳で妊娠、ダウン症の確率186分の1…羊水検査をした女性の深い悲しみ」では、熱心に仕事をしていた大竹さんが、40歳で結婚し、41歳のときに妊娠、186分の1の確率でダウン症の可能性があると言われ、羊水検査を受けたことをお伝えした。後編では、羊水検査を受けた翌朝異常を覚えたときからを詳しくお伝えする。

今回お話を聞かせてくださった大竹麻美さん 撮影/河合蘭
編集部・著者注*この記事はご本人が保存している書類とご本人の記憶に基づいて13年前のできごとを書いています。また、ここでお伝えする医療施設の対応は一般的な対応とは言えない可能性があります。よってこの記事は羊水検査後の標準的な流れを知るためのものではありませんので、そのことをご了承の上でお読みください。
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「大げさな妊婦だな」と思われたくない

異変は、翌朝、頭痛と発熱から始まった。
流産の予兆としてよく知られる下腹痛は、ない。
だが、大竹さんは「何か、とても不安な気持ち」になって、羊水検査を受けたクリニックに問い合わせたくなった。

その時のもやもやした気持ちを、大竹さんは、こう振り返る。
「そういう時、患者としては、ものすごく電話しにくいです。産院から『大げさな妊婦だな』と思われるのが嫌だからです」
しかし赤ちゃんが心配だった大竹さんは、勇気を出して行動した。

だが、最初の電話では、電話をとったスタッフに「自宅で様子を見て下さい」と言われてしまった。医師につなぐことさえ、してもらえなかった。

翌日になると、熱はさらに上がった。大竹さんは再び電話をした。そして、この時は自分から「先生に診ていただきたい」と頼むと、受診するようにと言われた。ただ、院長による診察は問診のみで、超音波検査で赤ちゃんを診ることもなかった。薬は、頭痛に対する痛み止めが処方された。

それでも発熱と頭痛が変わらなかったので、大竹さんは、次の日も、またクリニックへ行くことにした。すると、この時は問診だけではなく、検査後初めての超音波検査もおこなわれ、赤ちゃんの心拍が確認された。抗生剤の点滴も、おこなわれた。
この日、帰宅してまもなく大竹さんの体調は急変した。嘔吐があり、破水もしてしまったのだ。破水とは、胎児を包んでいる膜が破れ羊水が流れてしまうことで通常は分娩中に起きる。

タクシーでクリニックにとんぼ返りをして超音波検査が実施されると、すでに、赤ちゃんの心拍はなかった。