フン・セン首相のミャンマー訪問…軍政にお墨付きを与えASEAN内部の亀裂に発展か

成果どころかマイナス効果
大塚 智彦 プロフィール

訪問の成果を強調するカンボジア

フン・セン首相はミャンマー訪問に先立ちインドネシアのジョコ・ウィドド大統領と電話会談したと伝えられている。これは議長国でありながらもASEANでの指導力、さらにミャンマー問題で主導権を握っているのがインドネシアであることを示しているといえる。

この会談でフン・セン首相はミャンマーを訪問する意向を伝え、ジョコ・ウィドド大統領は「5項目合意」の履行を促すように伝えただけで、特に訪問への反対も大きな期待も示さなかったとされる。

フン・セン首相の訪問、ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談で両者は「ASEANが合意した和平努力の実施について進歩的な前進を伴う非常によい、肯定的な結果を達成することができた」と、カンボジアのプラック・ソコン外相は8日の記者会見で訪問の成果を強調した。

そのうえで「こうした交渉や今回の合意の進展に反対することは、戦争を好みミャンマーが安定と平和に戻るのを嫌悪することである」と述べて反論を封じるような発言を繰り返した。

まさにこの発言こそが、反対論を抑え込み反政府のメディアや野党を弾圧するフン・セン政権の姿勢そのものといえるだろう。

 

ミン・アウン・フライン国軍司令官はフン・セン首相との会談を受ける形で、戦闘を続ける複数の少数民族武装勢力との停戦を呼びかけた。しかしこれは事前の根回しや相手方との交渉もなく、あくまで戦闘の当事者である軍が一方的に呼びかけた停戦であり、その実効性には大きな疑問が投げかけられている。

全土で軍や警察との戦闘がエスカレートしている武装市民組織「国民防衛隊(PDF)」との間の停戦には一切触れておらず、反軍政を掲げる武装市民や抵抗運動を続ける国民と少数民族武装勢力の分断を狙った「停戦宣言」とみられ、反軍勢力からは「姑息なポーズ」と批判を浴びている。

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