フン・セン首相のミャンマー訪問…軍政にお墨付きを与えASEAN内部の亀裂に発展か

成果どころかマイナス効果
大塚 智彦 プロフィール

ミャンマー首脳の出席拒否という強硬策

4月以降も「5項目の合意」への履行を果たさず、少数民族武装勢力武装や武装市民組織「国民防衛隊(PDF)」との戦闘を激化して多数の死者を出し続ける軍政に対し、ASEANはミン・アウン・フライン国軍司令官を10月の首脳会議に招待することを拒否、非政治的代表(外務省職員などを念頭)の出席なら認めるとの姿勢を示した。これに反発したミャンマーは会議を欠席するという異例の事態が起きた。

コロナ禍のためオンラインで開催されたこの時の首脳会議は、ASEAN9ヵ国の首脳が画面に登場する中、ミャンマーだけは国名が書かれた画面のみが表示されるという異様な会議となった。以後、ASEANは実質「9ヵ国」による運営となり、ミャンマーは疎外され続けていた。

 

さらにこの会議を機に、ASEAN議長国はブルネイからカンボジアに移った。政治的力量不足とされたブルネイから、ミャンマー軍政が後ろ盾として頼りにする中国に極めて近い親中国として知られ、国内で強権的支配の独裁を続けるカンボジアに議長国が移ったことで、ASEANとしてミャンマー問題で当面は進展が望めない状況との見方が有力だった。

そうした状況の中でのフン・セン首相の突然のミャンマー訪問だった。

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