フン・セン首相のミャンマー訪問…軍政にお墨付きを与えASEAN内部の亀裂に発展か

成果どころかマイナス効果
大塚 智彦 プロフィール

暗礁に乗り上げたASEANの思惑

フン・セン首相はミン・アウン・フライン国軍司令官との直接会談でASEANの基本的立場を説明し、事態打開策について意見交換をしたという。

ASEANのミャンマー問題解決への最優先条件は、2021年4月24日にインドネシアのジャカルタで開催され、ミン・アウン・フライン国軍司令官も参加して開かれたASEAN臨時首脳会で、加盟10ヵ国全首脳が合意した「5項目の合意」の履行を促すことにある。

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この時の「5項目合意」は、以下のような内容となっている。

1)市民を標的にした武力行使の即時停止と関係者全員の自制
2)国民の利益を最優先とし平和的な解決を目指して関係者全員で建設的な話し合いの実施
3)ASEAN事務総長の居力を得て話し合いの過程にASEAN特使を派遣し対話を仲介する
4)ASEAN人道支援局からの人道的支援の受け入れ
5)ASEAN特使の受け入れと関係者全員との面会

4月の臨時首脳会議以降、ASEANはこの「5項目合意」を基にして事態打開の道を模索してきた。

 

しかし軍政は「全ての関係者」にはASEANが求める逮捕、公判中のスー・チーさんとの面会を「裁判の公判中の人物との面会を認める国などない」として頑なに拒絶し、10月までのASEAN議長国ブルネイのASEAN特使であるエルワン・ユソフ第2外相の度重なるミャンマー訪問要請をも拒否し続けてきた。

このためASEANによるミャンマー問題解決への道は暗礁に乗り上げ、実質的な進展がないまま10月の定例ASEAN首脳会議を迎えたのだった。

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