習近平とプーチンが、台湾とウクライナで起こしうる「最悪のシナリオ」

もはやアメリカも止められない
長谷川 幸洋 プロフィール

バイデン政権の姿勢については、昨年8月のアフガニスタン撤退以来、英国のネヴィル・チェンバレン首相が1938年にナチス・ドイツの勢力拡大を容認した「宥和政策」になぞらえる指摘も出ている。

たとえば、米国の政治メディア「ザ・ヒル」は「38年には、チェンバレンがヒットラーに譲歩して、チェコスロバキア・ズデーテン地方の割譲を許してしまった。いまの悪役はバイデンで、プーチンの野望に屈して、ウクライナを割譲させようとしている」と書いた。

ただし、国際関係論の教授による、この署名記事の結論は「チェンバレンがヒットラーに譲歩したのは、当時の英国がドイツと戦って勝利するだけの軍事力がなかったからだ。彼は体制を整えるまで、時間稼ぎしようとしたのだ」とチェンバレンを擁護している。

1938年、ドイツのミュンヘンに集まった英仏独伊の首脳陣。左端がネヴィル・チェンバレン英首相、中央がアドルフ・ヒトラー[Photo by gettyimasges]
 

共和党は「バイデン政権は、プーチンから武力侵攻しない約束を取り付ける代わりに、ウクライナがロシアに領土の一部を割譲してはどうか、という策を検討している」という報道を基に「これこそ、文字通りの宥和政策だ」と非難している。

本当にバイデン政権がそんなことを考えているのかどうか不明だが、AP通信は昨年12月10日、たしかに「米国はウクライナに東部ドンバス地域における自治を公式に認めるように圧力をかけるだろう、と政権当局者が示唆した」と報じた。

いずれにせよ、表向きの強硬姿勢とは裏腹に、米国がどこまでロシアとガチンコ対決する気なのか、疑わしさは残る。プーチン大統領は、米代表団が協議で語った強硬論は棚上げして、バイデン大統領の腹の内を見透かしているかもしれない。

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