「熱海土石流」から半年…警察も動いた「真相究明」の“今後”を読み解く

惨事を繰り返してはならない

死者26名、行方不明者1名を出した熱海土石流災害から半年が経過、静岡県、熱海市など行政は、実態解明に総力を上げ、静岡県警は専従捜査班を編成、立件へ向けての捜査を進めている。そこにあるのは、この災害が天災ではなく人災であることを明らかにしたうえで、惨事が繰り返されないようにすること。これまでに行なわれた調査・捜査の過程を振り返ってみたい。

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警察も告訴状を受理、捜査

熱海市は、10月18日、斉藤栄市長が記者会見し、造成された経緯や行政対応などについての調査結果を公表した。文書数は表題だけでもA4版用紙5枚以上に及ぶなど膨大で、盛り土が「県土採取等規制条例」に基づく基準の3倍を超える危険な高さに至った経緯と、その状態を放置した業者と行政の“不作為”が、延々と綴られていた。

その問題部分は後述するとして、斉藤市長が「A社(盛り土部分の前所有者)及びC者(現所有者)の対応は、行政側の厳しい対応を避けるための巧妙な手口と言わざるを得ず、悔しい思いがあるのは事実」と言いつつ、「本市の対応に問題がなかったか、真摯に向き合うことが必要であり、最終判断は司法機関に委ねざるを得ない」と、述べた。

 

司法機関の最前線に立つ静岡県警は、7月3日の発生直後から事件化は必至と見て、熱海署に捜査員を集めて準備。「熱海市盛り土流出事故被害者の会」の代理人を務める加藤博太郎弁護士が、8月17日、前・現所有者を業務上過失致死罪などに問う遺族を原告とする告訴状を提出すると、わずか10日で受理して捜査に入った。

10月28日、29日の両日、百数十人の捜査員を投じて前・現所有者の家宅捜索を行ない、A社代表とC者(中堅不動産・建設会社代表/土地は個人で購入)から事情聴取を行なった。さらに被害者遺族は、A社代表とC者に対し殺人容疑の告訴状を提出、熱海署は12月6日、これを受理した。

検察OB弁護士は、「殺人罪での立件は難しい」という認識を示すが、「前・現所有者が危険性を認識、事故を予知しながら放置していたことの立証は可能。警察は過失致死罪を問うつもりだろう」(同)という。

盛り土の造成が認められてからは、30数社のダンプカーが土砂の運搬・搬入に関わっており、県警はそうした業者の事情聴取を実施、なかには規定の3倍の量を積むダンプカーもあったという。前所有者が運んだ総量は届け出の3万6000平方メートルの2倍以上であり、それを証言ベースで固め、危険性の認識を立証する。

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