2022.01.14
# 中国

北京・冬季オリンピック直前のいま、記者たちが怯える「黒いウワサ」

人がどんどん消えている
週刊現代 プロフィール

新型コロナ発生のときもそうだった。'19年末にいち早く中国・武漢で原因不明の肺炎が広がっていると警鐘を鳴らした李文亮医師も「デマを広めている」と当局に処分され、'20年2月にコロナに感染して亡くなった。

'21年12月10日には、元弁護士で人権活動家の唐吉田氏が消息を断った。「世界人権デー」に合わせて北京で行われたイベントに参加しようと外出したときから連絡が取れなくなっているという。

李文亮医師(Photo by gettyimages)李文亮医師(Photo by gettyimages)
 

中国の研究者で、唐氏と家族ぐるみの付き合いのある東京大学教授の阿古智子氏がこう話す。

「唐さんの娘は日本に語学留学中でしたが、連絡が取れなくなり、4月末に自宅で倒れているところを私が発見しました。結核と診断され、現在も意識不明の重体です。父親の唐さんは一刻も早く来日して娘の看病に訪れたいのに、中国当局から何度も足止めされて出国することが叶いません。

そんななか、12月10日以降、唐さんと連絡が取れなくなったので、大変心配しています」

唐氏は弁護士として、社会的な弱者の弁護を引き受けてきた。しかし、'10年に当局から弁護士資格を剥奪され、翌年には民主化運動を呼びかけたとして約1ヵ月間、当局に拘束され、拷問を受けた。'16年には何者かにバイクで轢かれ、大腿骨骨折の重傷を負った。

中国の「その筋」にとって、体制に逆らった人間を社会的に抹殺して壊すことなど朝飯前なのである。英紙フィナンシャル・タイムズのギデオン・ラックマン氏も自らの体験をこう語る。

「私は'14年のダボス会議で、中国国営中央テレビの有名な若手キャスター・芮成鋼氏と知り合いになりました。芮氏は北京に来たら、ぜひ自分を訪ねるように誘ってくれた。しかし、その機会は訪れませんでした。

その年の夏に彼が汚職容疑で当局に逮捕され、二度と公の場に姿を現していないからです。翌年のダボス会議で彼の同僚に何があったのか尋ねたら、その人は顔をこわばらせて、立ち去ってしまいました」

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