朝日新聞を愛した息子はなぜ命を絶ったのか 父が組合機関紙で書いたこと

【後編】33歳の記者は自殺した
現代ビジネス編集部

労働組合の説明に納得できない

3ヵ月が経った。朝日新聞労働組合も調査を会社側に申し入れているという。労働組合の機関紙「本部広報59号」にはこう記されている。

〈ご遺族の意向を最優先に対応するという方針の下、Aさんについて会社と協議したり、その内容を組合員の皆さんにヒアリングで説明したりしてきました。組合員から「なぜ公報で説明しないのか」といった意見も多数ありましたがご家族の意向を確認しないまま、発行するのを控えていました〉

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会社側と労組側の協議については、こう記している。

〈会社側は「現在はご遺族とコミュニケーションを取りながら、関係者に聞き取りをするなどして、事実関係について丁寧に調べている。現時点で、それ以上のお答えを差し控えたい」などと説明をしました〉

〈大阪経済部長が論説委員に異動した人事について質問したところ「大阪経済部の体制を刷新するとともに調査の間、マネジメントから完全に明確に外しながら、キャリアを一定程度生かしてもらう」とした上で、「現時点で部長に問題があった、あるいはなかったということを会社として方向付けしているわけではない」とのことでした〉

だが、少なからぬ朝日新聞の記者たちは、こうした労組の説明に納得していない。

「朝日新聞は労働問題、過労死、職場環境、パワハラなどをこれまで熱心に報じてきました。他社がそうしたテーマでスクープ記事を出せば、『すぐに追いかけろ』と記者に命じて、記事にしている。それなのに、自社の話になった途端、うやむや。会社側も労組側も何をやっているんだという気持ちです。なぜこんな時間がかかるのか。最も大事なのはA記者が亡くなった原因の究明であり、二度と同じ過ちを繰り返さないこと。朝日新聞は報道機関として調査結果をすべて明らかにすべきです」(朝日新聞の現役記者)

先に引用した労組機関紙にしても、「社外秘、無断転載、無断引用を禁止」と記されており、組合も会社側に忖度しているのではないかと疑う記者までいるという。

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