AKB48の選抜総選挙で考える、マス・マーケティグとソーシャル・コミュニケーションのせめぎ合い

AKB48が気になる理由

 6月9日梅雨空の下、九段下の日本武道館に8500人のファンを集め、地上波テレビ番組での生中継も入って行われたのは、第3回目を迎えたAKB48の選抜総選挙です。トップ・アイドルグループに成長したAKB48の1年に1回のメイン・イベントは、ファンでもないおじさん(=僕)でさえ「大島と前田のどっちが勝ったの?」と話題にするぐらいに、国民的行事となってしまいました。スポーツ紙が号外を出し、ニュース速報が流れ、全国紙が結果を特集として取り上げる狂騒ぶりでした。つまり、マスコミがそういう事態にしてしまったところがあります。

 そんな中で、なぜ僕までがAKB48を取り上げるのかというと、もともとAKB48のマーケティングに興味があったからです。特に、今回の総選挙では、AKB48が抱えるソーシャル・コミュニケーション的要素とマス・マーケティングのせめぎ合いを見たような気がしました。繰り返しますが、僕はAKB48に特別な思い入れはありません!!

 昨年、ソーシャル・コミュニケーションのことをいろいろ考えている中で、ふと、このアイドルグループの在り方に興味を抱くようになりました。その理由は、テレビの寵児として、おニャン子クラブをはじめ、数々のアイドルやタレントをプロデュースしてきた秋元康という人が、秋葉原で250名収容の小さな劇場を拠点に据えて、「会いに行けるアイドル」というコンセプトのもとに、アイドル育成事業に挑戦してきたということに尽きます。

 調べてみると、AKB48は決してデビューから華々しく一気にトップに駈け上がったわけではなく、トップ・アイドルグループになったいまでも、秋葉原の劇場でのステージを毎日続けているということも、とても気になりました。公式サイトでも、2005年のデビューからの軌跡を垣間見ることができますが、中でも、AKB48劇場の支配人である戸賀崎智信氏のブログ(通称「トガブロ」)を読むと、決して平坦ではなかった、その成長の軌跡がリアルに感じられます。(http://ameblo.jp/akihabara48/archive1-200507.html)

 ここからは、僕の勝手な想像ですが、テレビを起点に事業を展開することに限界を感じた(あるいはテレビに飽きた?)秋元氏が選んだのは、いまのAKB48的アイドル育成事業ではなかったのかということです。そこには、テレビの力を使ったパワーマーケティグで作り上げていく虚像にはない、拠って立つところ、オーディションからはじまり、歌も踊りもしっかりレッスンを重ねて、そのプロセス自体をファンと共有していくような、新しいアイドルを育ててみたいという意慾があったのではないでしょうか。

 「おニャン子クラブ」⇒「モーニング娘。」⇒「AKB48」という、アイドルのマーケティング・コミュニケーションの変遷は、とても興味深いテーマです。秋元氏が、コミュニケーション環境の変化をどう見ていたのかはわかりませんが、結果的に、AKB48は「ソーシャル・コミュニケーション時代に生れたアイドルグループ」ということができるのではないでしょうか。

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