国民全体で受験生を応援する「スヌン」の日

日本には、小学校や中学校、高校、大学など、それぞれのタイミングで受験生がいますが、韓国で「受験生」といえば基本的に大学受験をする高校3年生のみを指します

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そして、日本でもニュースで取り上げられているように、韓国では「スヌン(大学修学能力試験。日本の大学入学共通テストのようなもの)」の日に、パトカーや白バイで受験生を現場まで送る光景がよく見られます。日本ではビックリされるかもしれませんが、韓国では当然のこと。スヌンは人生で一度しかないので、この日ばかりは国民全体が受験生に配慮しないといけません

たとえば最寄りのバス停にバスが来ない、タクシーが拾えないなどの理由で試験に遅れたら、これまでどれだけ準備して勉強してきてもすべてがムダになってしまいますよね。そんな気の毒なことはあってはならない。なので当日の朝は、ほとんどの会社が出勤時間を10時に後ろ倒しにし、なるべく車に乗らないなどの気づかいをして受験生ファーストを徹底します。

パトカーや白バイでの送り迎えだけでなく、受験している間、寺で合格を祈り続ける両親も多く、お寺には行列ができるという。photo/Getty Images

それでも世の中には話のわからない人がいて、一部のエリアで渋滞が発生することもあります。そんな場合に備えて、当日の朝から警察や救急車などが路上で待機しているのです。国の将来のためにも大切な一日なのだ、という認識ですね。

受験のシステムも変わりました。以前は「君の成績ならソウル大に受かりそうだから、ソウル大を受けなさい」と、高校の先生から指定された大学を受けるというしくみだったため、本人が別の大学に行きたいと思っても行けず、滑り止めを受けることもできませんでした。なのでそこに落ちたら浪人するしかなかったのです。でもスヌンになってからは自分のレベルに合わせて志願できるようになり、何度かトライすることも可能になりました。

目指す大学に受かるまで、浪人する人も多いです。母の末弟がソウル大出身なのですが、なんと3浪しています。彼は頭がいいからこそソウル大を目指して浪人したわけですが、なかには「浪人生には賢いイメージがある」という理由で、たいして優秀でもないのにあえて浪人する人もいます。それで2回、3回と受験し続ける。運よく名門大に受かればいいですが、ダメだった時は悲惨です。プライドだけがムダに残り、これといった学歴もないまま年を重ねてしまいますからね。