韓国にやたら「社長」が多い理由

よく「韓国は社長だらけ」と言われます。確かにドラマを観ていても、小さな店を経営する「社長」がたくさん出てきますよね。韓国では、働いている人のうち個人事業者が半数を占めています。アメリカでは7割にのぼるそうですが、韓国はアメリカの影響を強く受けているため、似たような傾向があるのだと思います。

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もちろん、目的を持って自分がやりたい事業を始める人もいます。ですが、個人事業主になる理由のひとつに「早期退職」の問題があるのです。韓国では、給料がかさむ年齢になると会社から退職を促される傾向があります。私の父は銀行員だったのですが、50代も半ばになると銀行からのプレッシャーがすごかった、と言っていました。銀行側としては、一人でも多く契約社員にして人件費を減らしたいのです。IT関連企業の場合、40代そこそこで早期退職を促す会社もあると聞きます。

でも、仮に会社から言われるままに40代で退職したとして、その後はどうなるのでしょう? 別の会社に再就職したとしても、たぶん上司は自分より年下です。韓国では「こんなに年を取っているのに若い者の下で働くなんて」とハッキリ言う人が多い。そんなことを言われたら誰だって怒りますし、自尊心も傷つきます。かといって、特別な技術や能力がない人が「自分を尊重してくれない会社では働きたくない」と辞めてしまったら、もうできる仕事がない――。

結果、辞めた人が何をするかといったらチキン屋を開くわけです。韓国にはたくさんのチキン屋がありますが、どれもフランチャイズで、マニュアルに沿って作れば誰でも美味しいチキンが作れるようになっています。あとはアルバイトを雇って配達すればOK。簡単に開業できるうえ韓国にチキンを好きな人は多いので、みなそこにたどり着くのです。もちろん加盟店料はしっかり取られますが、少なくとも年下の若者に指図される生活からは抜けられます。

ドラマ『トッケビ』にも出てきたフランチャイズ展開をする『bbq CHIKEN』。他にも開業しやすいフランチャイズ展開のチキン屋が韓国には多い。出典/bbq CHIKENサイトより

また、最近では40~50代の早期退職系の人だけでなく、20~30代でもチキン屋的な選択をする人が増えています。就職すると残業は当たり前で、職場でも競争を強いられます。そういった軋轢に身を置きたくない人たちが店を開くわけです。韓国にチキン屋が溢れる理由はそういった背景もあるのです。でも、チキン屋も増えれば競争社会になるわけですから、人生ラクしては生きられないのですが……。